はじめに、ふた、ありき
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文部省著作教科書 「民主主義 (上) (下)」 (1948-1949年) より抜粋 【民主主義の本質】 「民主主義が何かということを定義するのは、非常にむつかしい。しかしその点をはっきりとつかんでおかないと、大きな食い違いが起こる。民主主義をただしく学び、確実に実行すれば、繁栄と平和とがもたらされる。反対の場合には、人類の将来に戦争と破滅とが待っている。人類の住むところは、地球上のこの世界以外にはない。これを生きとし生けるすべての人間にとっての住みよい、平和な、幸福な、ひとつの世界に築きあげてゆくことができるか、あるいは逆に、これを憎しみと争いと死の恐怖とに満ちた、この世ながらの地獄にしてしまうかの分かれ道は、民主主義をほんとうに自分のものとするかどうかにある。ゆえに、おおげさな言い方でもなんでもなく、民主主義は文字通り、生か死かの問題である。平和と幸福とを求める者は、なにをおいてもまず、民主主義の本質をただしく理解することに努めなければならない。多くの人々は、民主主義とは単なる政治上の制度だと考えている。しかし、政治の面からだけ見ていたのでは、民主主義をほんとうに理解することはできない。政治上の制度としての民主主義ももとよりたいせつであるが、それよりももっとたいせつなのは、民主主義の精神をつかむことである。」 【人間の尊重】 「それでは、民主主義の根本精神とはなんであろうか、それは、つまり、人間の尊重ということにほかならない。人間が人間として自分自身を尊重し、互いに他人を尊重しあうということは、政治上の問題や投票よりも、はるかにたいせつな民主主義の心構えである。民主主義の精神が自分自身を人間として尊重するからといって、それをわがままかってな利己主義ととりちがえるものがあるならば、それはとんでもないまちがいである。みずからの権利を主張する者は、他人の権利を重んじなければならない。自己の自由を主張する者は、他人の自由に深い敬意を払わなければならない。そこから出てくるものは、お互いの理解と好意と信頼であり、すべての人間の平等性の承認である。キリストは、「すべての人にしてもらいたいと思うことは、人にもまたそのようにしなさい」と教えた。孔子も「おのれの欲しないことは、人にすることなかれ」と言った。もしもこの好意と友愛の精神が社会にゆきわたっているならば、その社会は民主的である。どこでも、いつでも、この精神が人間の関係を貫いている場合には、そこに民主主義がある。民主主義は、家庭の中にもあるし、学校にもあるし、工場にもある。社会生活にもあるし、経済生活にもあるし、政治生活にもある。」 【民主主義の反対】 「民主主義の反対は、独裁主義である。独裁主義は、専制主義とか、全体主義とか、ファシズムとか、ナチズムとか、そのほかいろいろな形をとって現れるが、その間には根本の共通点がある。それは、権威を持っている人間が、普通一般の人々をけいべつし、見おろし、一般人の運命に対してすこしも真剣な関心をいだかないという点である。そこにはほんとうに人間を尊重するという観念がない。支配者は、自分たちだけは尊重するが、一般人は一段さがった人間としてしか取り扱わない。独裁者たちは、かれらの貪欲な、傲慢な動機を露骨に示さないで、それを道徳だの、国家の名誉だの、民族の繁栄だのという、よそ行きの着物で飾るほうが、いっそう都合がよいし、効果もあがるということを発見した。現にそういうふうにして日本も無謀きわまる戦争をはじめ、その戦争は最も悲惨な敗北に終わった。これからの日本では、そういうことは二度と起こらないと思うかもしれない。しかし、そう言って安心していることはできない。独裁主義は、民主化された今後の日本にも、いつ、どこから忍び込んでくるかわからないのである。独裁政治を利用しようとする者は、今度はまたやり方を変えて、もっとじょうずになるだろう。今度は誰もが反対できない民主主義という一番美しい名前を借りて、こうするのがみんなのためだと言って、人々をあやつろうとするだろう。それを打ち破るにはどうしたらいいであろうか。 【権威は国民の側にある】 「それを打ち破る方法は、ただひとつある。それは国民のみんなが政治的に賢明になることである。人に言われて、その通りに動くのではなく、自分の判断で、ただしいものとただしくないものとを、かみわけることができるようになることである。国民のひとりひとりが自分で考え、自分たちの意志で物事を決めてゆく。民主主義にも決して権威がないわけではない。ただ、民主主義では、権威は、賢明で自主的に行動する国民の側にある。それは、下から上への権威である。そこではすべての政治の機能が、社会を構成するすべての人々の意見に基づき、すべての人々の利益のために合理的におこなわれる。政治の上では、万事に調子が、「なんじ、臣民」から、「われら、国民」に変わる」。それが政治の面に表れた民主主義にほかならない。 【独裁者と全体主義】 「歴史の教えるところによれば、一部の者に政治上の権威の独占を許せば、その結果はかならず独裁主義になる。独裁主義になると戦争になりやすい。全体主義の特色は、個人よりも国家を重んじる点にある。その中で一番尊いものは、強大な国家であり、個人は国家を強大ならしめるための手段であるとみる。独裁者はそのために必要とあれば、個人を犠牲にしてもかまわないと考える。もっともそう言っただけでは、国民が忠実に働かないから、独裁者といわれる人々は、国家さえ強くなれば、すぐに国民の生活も高まるようになると約束する。あとでこの約束が守れなくなっても、言いわけはいくらでもできる。もうすこしの辛抱だ。あと5年、いや、もう十年がまんすれば、万事うまくいく、などという。それもむずかしければ、現在の国民は、子孫の繁栄のために犠牲にならなければならないと言う。やがて、祖国を列国の包囲から守れとか、もっと生命線をひろげなければならないとか言って、いよいよ戦争をするようになる。過去の日本でも、すべてがそういう調子で、一部の権力者たちの考えている通りに運んでいった。」 【人間の平等】 「これに反して、民主主義は、国民が栄えるにつれて国家も栄えるという考え方の上に立つ。民主主義は、決して個人を無視したり、軽んじたりしない。それは個人の価値と尊厳とに対する深い尊敬をその基本としている。民主主義は、国民を個人として尊重する。したがって民主主義は社会の秩序および公共の福祉と両立する限り個人にできるだけ多くの自由を認める。自由と並んで民主主義が最もたいせつにするのは、人間の平等である。民主主義は、すべての国民を個人として尊重する。すべての個人が尊厳なものとして取り扱われる以上、そのあいだに差別を設けるということは、あくまでも排斥されなければならない。民主主義が発達するまでは、人間の世の中には生まれながらの上下の差別があった。そんな不公平なことがあろうか。どんな生まれであろうと、人間の生命の重んぜられるべきことに変わりはなく、人格の尊うべきことにへだてはない。」 【民主主義のほんとうのすみか】 「繰り返して言うと、民主主義は、単なる政治上の制度ではなくて、あらゆる人間生活の中にしみこんでいかなければならないところの、ひとつの精神なのである。それは人間を尊重する精神であり、自己と同様に他人の自由を重んじる気持ちであり、好意と友愛と責任感とをもって万事を貫く態度である。この精神が人の心に広くしみわたっているところ、そこに民主主義がある。社会も民主化され、教育も民主化され、経済も民主化される。逆に、この精神が欠けているならば、いかににぎやかに選挙がおこなわれ、政党がビラをまき、議会政治のかたちが整っていても、それだけで民主主義が十分に実現されたということにはならない。だからほんとうの民主主義は、議会の建物の中でつくられるものではない。もしもそれがつくられるものであるとするならば、民主主義は人々の心の中で作られる。それを求め、それを愛し、それを生活のなかに実現してゆこうとする人々の胸の中こそ、民主主義のほんとうのすみかである。」 (※【 】の見出しは、イルコモンズによる) ---------------------------- 安陪くんは、この教科書をよくよんで、もういっぺん、小学校の勉強からやりなおしたまえ。
by illcommonz
| 2014-06-17 15:39
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