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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼不採用2014
▼不採用2014_d0017381_142778.jpg
 今年度最後の応募もまた「不採用」である。こんなふうに履歴書を出して採用されたことは、生・ま・れ・て・一・度・も・な・い。就職に関しては連戦連敗の人生である。世間では就活に失敗して自殺する若者が依然として後をたたないという。社会心理学者にいわせると、「何度も落ちることで次第に追い込まれ、自分には価値がないのではないかと孤立感を深めていく」のだという。さいわい自分は文化人類学者なので孤立に強い。価値のないことをおそれていては現代美術家などできない。それはともかく、不採用のときの心得は、以下のとおり。

 一、自分に同情しない。
 一、ひとのせいにしない。
 一、そのような状態のときにしか体験できないことをしっかり経験しておく

 ということで、そのような状態のときにしかできないことを考えてみた結果、今回の応募のために用意した講義シラバスを著作権フリーで公開することにした。どうせ自分には使いみちのないシラバスなので、来年の春から大学で映像制作の授業をすることが決まった人、これから大学に応募する人は、どうぞ自由にコピペして使ってください。不採用になったシラバスですが、何週間もかけてつくった力作なので、自由にアレンジして、リサイクルしてください。

▼不採用2014_d0017381_1425990.png
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【表題】 「映像編集ワークショップ」

【授業内容】 このワークショップは、映像制作の「ハウツー」だけでなく、映像に関する知識と「リテラシー」を身につけながら、映像制作の「スキル」とそのたのしさを学ぶものです。具体的には「映画」のはじまりの時代から使われてきた編集術や特殊効果を、映像編集ソフトで体験することで、映像制作の基本を身につけます。まずはじめに、これまで一度も映像を制作したことのない人でも簡単にはじめられるように、YouTube がネット上で提供している「YouTube動画エディタ」を使って、初歩的な映像編集を体験します。次に、パソコンのOSに付属している無償の映像編集フリーソフト(Apple iMovie や Windows MovieMakerなど)を使い、基本的な特殊効果を学びます。そのあとさらに、商用の編集ソフト「Adobe Premiere Pro」を使い、自分が表現したいものを映像化する「テクニック」を身につけます。

【到達目標】  「二〇世紀は人類がはじめて歴史を「動く映像」として見ることができた最初の世紀」であったことから「映像の世紀」と呼ばれました。二〇世紀の映像は、主に映画館やテレビのスクリーンで見るものでしたが、メディアの発達と多様化により、今ではパソコンをはじめ、携帯電話やスマートメディアのディスプレイで見るものとなり、あらゆる場所に映像があふれています。いまや映像は「メディア」のための「コンテンツ」とされ、消費されるものとなりました。私たちは、日常のささいな出来事まで「動く映像」として見る「二番目の映像の世紀」を生きていて、「最初の映像の世紀」の人たちが体験した驚きや感動を感じることはありません。このワークショップは、「はじめて映画を見た人たち」や「はじめて映画をつくった子どもたち」の姿を見ることからはじめます。そして「映像の最初の世紀」を生きた映画作家たちの思索や実験をふりかえりながら、それを追体験することで、もう一度、映像に向かい合いたいと思います。「映像の再発見」は、私たちの身のまわりの世界や人生の見方を変えるかもしれません。

【予習・復習】 このシラバスに列挙した映画やヴィデオを、ネットの「映像アーカイヴ」や「動画配信サイト」などで見て、予習・復習をして下さい。

【授業計画】

[映画のはじまりとはじめての映画]

(01)【運動するものの光景は、人を幸福にする】(ロベール・ブレッソン)
 1895年、パリのグラン・カフェ劇場で世界で最初の映画(シネマトグラフ=活動写真)が上映された時、スクリーンに映る動く「列車の到着」を目にした人びとは、列車が観客席に突進してくるような気がして席から逃げ出したと伝えられています。この映画の「起源神話」は後に映画化され、それを通じて当時の人びとの映像に対する驚きを知ることができますが、「映像の世紀」に生まれた私たちはもはやその列車の映像に同じ驚きを感じることはできません。一方、それから約半世紀後にキューバで制作された「はじめての映画」には、生まれてはじめて映画を観たキューバの人びとの表情や仕草が記録されていて、その映像は私たちが忘れてしまっている何かを想起させてくれます。最初の授業では、「映画のはじまり」と「はじめての映画」を観て、もう一度、映像に向かい合い直すことからはじめます。その後、最初の映画から現在までの約一世紀半の映画の歴史を、「死ぬまでに見ておきたい映画1001本」という10分の映像で学びます。
[参考映像] ロバート・ポール「田舎者とシネマトグラフ」(1901年)/エドウィン・ポーター「ジョシュ伯父さんと活動写真」(1902年)/デヴィッド・ギル&ケビン・ブラウンロウ「シネマ・ヨーロッパ すべてのはじまり」(1995年)/NHK・ABC共同制作 「映像の世紀」(1999年)/オクタビオ・コルタサル「はじめての映画」(1967年)/ジョナサン・キーフ「死ぬまでに見ておきたい映画1001本」(2013年)ほか

(02)【最良の映画の教育は、映画をつくることだ】(スタンリー・キューブリック)
 ワークショップをはじめる前にまず、「映像のワークショップ」とはどういうものかを理解するために、映画づくりを子どもたちに教えるワークショップの記録映画を見ます。夢中になって映画をつくる子どもたちは、映像編集の最良の教師です。同時に、これからデジタル機器と編集ソフトを使って行う「映像を切る、つなぐ」という作業が「フィルム」ではどのように行われていたかを学びます。さらに、講師が所有する小型の8mmフィルム映写機を使って、フィルム映写を体験します。 
[参考映像] ディーディー・ハレック「チルドレン・メイク・ムービーズ」(1961年)/イグナシオ・アグエロ「100人の子供たちが列車を待っている」(1988年)/スタン・ブラッケージ「モスライト」(1963年)/ハリー・スミス「アブストラクション」(1946-1957年)/クリス・ケニーリー「サイド・バイ・サイド」(2013年)ほか

[映像と映像]

(03)【映画技法とは、なにより第一にモンタージュである】(セルゲイ・エイゼンシュテイン)
 「モンタージュ」とは映像を切断・接合・配置することです。同じ映像でも、その見え方や意味はその前後に配置された映像によって大きく変わります。これを「クレショフ効果」といいます。エイゼンシュテインやヒッチコックの映画を手本に、映像制作の基本であるモンタージュとそのヴァリエーションを学びます。
[参考映像] セルゲイ・エイゼンシュテイン「戦艦ポチョムキン」(1925年)/アルフレッド・ヒッチコック「クレショフ効果」(1964年)/フセヴォロド・プドフキン「母」(1926年)/アルタヴァスタ・ペレシャン「我らの時代」(1982年)ほか

(04)【モンタージュ、わが美しき悩み】(ジャン=リュック・ゴダール)
 誰でも簡単に使える「YouTube動画エディタ」や、パソコンのOSに付属する映像編集フリーソフト(Apple iMovie や Windows MovieMakerなど)を使い、「タイムライン」上での映像モンタージュの実習を行います。編集ソフトは受講者が扱い慣れているものを各自選択してください。
[参考映像] セルゲイ・エイゼンシュテイン「十月」 (1930年)/アルフレッド・ヒッチコック「サイコ」(1960年)/ジャン=リュック・ゴダール「こことよそ」(1976年) 「リア王」(1987年) 「映画史」(1998年) ほか

[映像と音]

(05)【サイレント映画を作ることを学ばなければ、どんな理論も無意味です】(アルフレッド・ヒッチコック)
 映画に声や音楽は欠かせませんが、映像に音をつける「トラック」編集に進む前に「サイレント映像」を制作します。まず、「固定カメラ・無音・無加工・無編集・ズームなし・最長1分」という「リュミエール・ルール」で映像をつくり、それをモンタージュして別の映像につくりかえる実習を行います。
[参考映像] リュミエール兄弟「ラ・シオタ駅への列車の到着」(1895年)/ゲオルグ・ヴィルヘルム・パブスト「落倫の女の日記」(1929年)/アンダーワールド/TOMATO「アンチロム」(1994年)ほか

(06)【映像と音の衝突と連携から、調和が生まれねばならない】(ロベール・ブレッソン)
 総務省が制作した「映像不思議シュミレーター」という教育ソフトを使い、音が映像に与える効果を学びます。さらに「フィルム」のサウンドトラックと「デジタルムービー」のサウンドデータの違いなどについて学んだ後、先の実習で制作した映像に音や効果音をつけるトラック編集の実習を行います。
[参考映像] ディズニー「ファンタジア」 (1940年) /ERP教材映画「光学音響録音法の解説」(1943年)/フランソワ・トリュフォー「アメリカの夜」(1973年)/ブルース・コナー「クロスロード」(1975年)ほか

[映像と現実]

(07)【映画は、マジックを見せるのに最高のメディアである】(ドン・レヴィ)
 映像編集ソフトには、映像を加工・変形する様々な「特殊効果」の機能があります。その多くは、映画の初期の時代から使われてきたテクニックがもとになっています。初期の映画における「ジャンプカット、多重露光、スローモーション、早回し、逆回し、ストップモーション、ビネット」の使用例を見て、特殊効果を学びます。
[参考映像] ドン・レヴィ「視覚効果から見る映画史」(2012年)/ジョルジュ・メリエス「月世界旅行」(1902年)/ルネ・クレール「幕間」(1924年)/ルイス・ブニュエル 「アンダルシアの犬」(1928年)ほか

(08)【スクリーンは、魔法をうみだすメディアである】(スタンリー・キューブリック)
 映像編集ソフトの特殊効果を様々に組み合わせて、先の実習で制作した映像と音声を加工・変形する実習を行います。
[参考映像] ジガ・ヴェルトフ「カメラを持った男」(1929年)/アルヴァルト・ガンス「ナポレオン」(1929年)ほか

[映像と距離と速度]

(09)【コペル君は、叔父さんと二人で銀座のデパートの屋上に立っていました。コペル君は黙って、すぐ下の通りを見下ろしていました。コペル君は何だか身震いがしました。こうして見下ろしている今、その人たちは何をしているのでしょう。何を考えているのでしょう。それはコペル君にとって、まるで見通しもつかない混沌とした世界でした】(吉野源三郎)
 「喜劇とは人生に距離をおいて見ることであり、悲劇とはクローズアップされた人生である」とは、映画作家チャップリンの言葉です。非常に高い場所からバードアイ(俯瞰)で撮影された映像や極端にズームアップされた映像は、普段は目にすることない秩序や混沌を描きだします。ズーム映像のほか、ハイスピード撮影された最新のシネマトグラフ(=活動写真)が描きだす異化された世界とそこに生きる人間たちの映像について学びます。
[参考映像] チャールズ&レイ・イームズ「パワー・オブ・テン」(1971年)/ヒラリー・ハリス「有機体」(1975年)/ゴドフリー・レジオ「コヤニスカッティ」(1983年)/アダム・マイヤー「ステンレス」(2012年)ほか

[映像編集ソフト Adobe Premiere Pro での映像編集実習]

(10)【インストラクション】
 ワークショップで使用してきたフリーソフトと 「Adobe Premiere Pro」との違いや特性などについて学びます。

(11)【基本操作と用語の解説】
 「オンライン・チュートリアル」や「レッスン動画」を活用しながら「Adobe Premiere Pro」の基本操作、名称、用語を覚えます。

(12)【編集ツールの使い方】
 「レーザー、ペン、リップル、ローリング、スリップ、スライド」など「Adobe Premiere Pro」の「編集ツール」の使い方をマスターします。

(13)【ビデオエフェクトの使い方(1)】
 「アンシャープマスク、カラーバランス、ガンマ補正」などの「ヴィデオ・エフェクト」の使い方と効果を学びます。

(14)【ビデオエフェクトの使い方(2)】
 「クロマキー、ブレンド、円(=ビネット)」などの「ヴィデオ・エフェクト」の使い方と効果を学びます。

[映像と色]

(15)【カラー映像の表現】
 編集ソフトには色のバランスや彩度を調整する機能がありますが、それはどのように使えばよいでしょうか。例えば北野武の映画の「青」は「キタノ・ブルー」と呼ばれ、その青みが独特の世界を描きだします。またモノクロ映像の中に一瞬「赤」だけを使う「パートカラー」で知られる名作もあります。それらを手本にカラーコントロールとその表現について学びます。
[参考映像] ジョルジュ・メリエス「月世界旅行(カラー版)」(1902年)/アヴェル・ガンス 「ナポレオン」(1929年)/セルゲイ・エイゼンシュタイン「戦艦ポチョムキン」(1925年)/ 黒澤明「天国と地獄」(1963年)/ジャン=リュック・ゴダール「映画史」(1998年)/スティーヴン・スピルバーグ「シンドラーのリスト」(1993年)/北野武「ソナチネ」(1993年)ほか

(16)【モノクロ映像の表現】
 カラー映像が当たり前になった時代に、あえて「モノクロ」で制作された映画があります、それらを手本に映画の原理である「光と闇」のコントロールを学びます。
[参考映像] デビッド・リンチ「エレファント・マン」(1980年)/ジム・ジャームッシュ「ストレンジャー・ザン・パラダイス」 (1984年)/林海象「夢みるように眠りたい」(1986年)/ヴィム・ヴェンダース「ベルリン・天使の詩」(1987年)/ダーレン・アロノフスキー「π」(1998年)/ほか

 「私は「ゲルニカ」と名づける現在制作中のパネルにおいて、スペインを苦痛と死のなかに沈めてしまった軍国制度に対する嫌悪をはっきりと表明する」(パブロ・ピカソ)

 「野獣の政府は野獣の色で描かれなければならない」(ジャン=リュック・ゴダール)

[映像と文字]

(17)【ソウル・バスに学ぶタイトルバック映像】
 編集ソフトにはタイトルやテロップの文字を映像に挿入する機能がありますが、それはどのように使えばよいでしょうか。映画には、映画の題名や配役などを表示する「タイトルバック」があり、デザイナーのソウル・バスはその巨匠として知られています。バスの作品を手本に、文字のレイアウトやフォントの選び方を学びます。
[参考映像] ソウル・バス「黄金の腕」(1955年)「或る殺人」(1959年)「危険な道」(1965年)「めまい」(1958年)「サイコ」(1960年)「シャレード」(1963年)「北北西に進路を取れ」(1959年)「ドキュメント:ソール・バスの映画タイトル集」(1977年)ほか

(18)【カイル・クーパーに学ぶタイトルバック映像】
 カイル・クーパーは「ソウル・バスの再来」といわれるデザイナーです。クーパーの近年のタイトルバック作品を手本に、文字をダイナミックに動かす「キネティック・タイポグラフィー」を学びます。
[参考映像]  FVF「映画の前の映画」(2013年)/カイル・クーパー「セヴン」(1995年)「ミミック」(1997年) 「ワイルド・ワイルド・ウェスト」(1999年)「ドーン・オブ・ザ・デッド」(2004年)ほか 

(19)【日本語のタイトルバック映像】
 日本仕様の編集ソフトには「タテ書き」で文字を表示する機能があります。日本映画を手本に、漢字やひらがな・カタカナを映像に挿入する作法を身につけます。
[参考映像] 市川崑「犬神家の一族」(1976年)/庵野秀明「新世紀エヴァンゲリオン」(1995年)/ギャスパー・ノエ「エンター・ザ・ボイド」(2009年)ほか

[映像と再編集]

(20)【予告篇】
 予告篇は、数十秒という短い時間で映画の内容と魅力を表現する「小さな映画」です。映画の世界には「90秒の映像の魔術師」と呼ばれる予告篇の職人たちもいます。また監督自らが制作した予告篇の傑作もあります。予告篇映像を手本に、もう一度、映像制作の基本である「モンタージュ」を学びます。
[参考映像] アルフレッド・ヒッチコック「サイコ 予告篇」(1962年)/市川崑「黒い十人の女 予告篇」(1961年)/ジャン=リュック・ゴダール「シネマ・ソシアリズム 予告篇」(2011年)ほか

(21)【フォトムービー】
 フィルムではなく写真や印刷物をモンタージュしてつくる「フォトムービー」は、今でもドキュメント作品などで多用されています。フォトムービーの映画を手本に動かない写真を動かして見せる「シネマトグラフ=活動写真=映画」の基本に立ちもどり、そのテクニックを学びます。
[参考映像] クリス・マルケル「ラ・ジュテ」(1962年)/ギー・ドゥボール「スペクタクル社会」(1973年)/小田昌教「台湾資料 アサイカメラ」(2005年)ほか

(22)【MAD、マッシュアップ、コラージュムービー】
 デジタル編集機器の普及と映像配信サイトの登場によって生まれてきた新しい再編集映像のジャンルやアートについて学びます。
[参考映像] デンジャー・マウス「グレイ・ヴィデオ」(2006年)/ダグラス・ゴードン「24時間サイコ」 (1993年)/BLU「MUTO」(2008年)/ほか

(23)【パブリックドメインとクリエイティヴコモンズ映像】
 古い映画やニュース映像の中には著作権保護期間が切れて「パブリック・ドメイン」になったものがあり、それは「インターネット・アーカイヴ」などで公開されています。また、一定の条件の下での改変・変形・加工を認める「クリエイティヴコモンズ・ライセンス」登録された映像もあります。そうした映像資源とその活用例を学びます。
[参考映像] ブルース・コナー「ある映画」(1958年)/クリスチャン・マークレー「クロック」(2010年) )/ディゾルヴ「どこかで見たシーン」(2014年)ほか 

[課題映像制作]

(24)【探すことなく、見つけ出すことを実行しなさい】(ロベール・ブレッソン)
(25)【ふくらませすぎてはいけない、つめこみすぎてもいけない】(同上)
(26)【偶然うまくいった物事は、なんと力を持つのだろう】(同上)
(27)【君なしでは、決して見られなかったものを出現させよ】(同上)

 [映像と人生]

(28)【エンディング】
 完成した課題映像の最後の仕上げとして、名作といわれる映画のエンディングをお手本に、その映像にふさわしいエンディングを付け加えます。
[参考映像] チャールズ・チャップリン「モダンタイムズ」(1925年)/キャロル・リード「第三の男」(1949年)/ギー・ドゥボール「サドのための絶叫」(1952年)ほか

(29)【試写とプレゼンテーション】
 完成した課題映像を試写上映します。その後、プロの映画製作者の講演をお手本に、それぞれの映像の見どころをプレゼンテーションをします。
[参考映像] ロブ・レガート「迫真の映像の作り方」(2012年)ほか

(30)【淀川長治に学ぶ映像の講評と、映像の共有】
 映画評論家・淀川長治の映画の語り方を手本に、課題映像についてディスカッションします。
[参考映像] 淀川長治「日曜洋画劇場 淀川長治の名画解説」(2006年)/ビーバン・キドロン「映画の素晴らしさを共有する」(2012年)ほか

【評価】 映像および制作への主体的なとりくみの姿勢と、完成した制作課題を総合評価します

【教科書】 なし

【参考文献】 スティーヴン・ジェイ シュナイダー『死ぬまでに観たい映画1001本 改訂新版』ネコ・パブリッシング/エイゼンシュテイン『映画の弁証法』角川文庫 ロベール・ブレッソン『シネマトグラフ覚書」筑摩書房/フィオヌラ・ハリガン「世界名作映画絵コンテ図鑑」/スティーヴン・レベロ『メイキングオブサイコ』白夜書房 フランソワ・トリュフォー『ヒッチコック映画術』晶文社/ジャン・リュック・ゴダール『ゴダール全評論・全発言」筑摩書房
by illcommonz | 2014-12-29 01:58
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