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![]() ▼トマ・ピケティ「21世紀の資本」(2014年12月刊 728ページ ¥5,940) 去年、欧米で話題になったピケティの本が日本でも話題になっているらしい。 ![]() ▼「戦後70年・ピケティ現象 希望求め議論始めよう」 「各地の図書館で今、ある本の貸し出しが長い順番待ちになっている。フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」だ。日本語訳が先月8日発売された。東京都文京区立図書館は所蔵3冊に予約が200人以上。1冊を100人以上が待つ図書館もある。英仏米、日本など20カ国の過去100年以上にわたる経済統計を解析。土地や株などの資産を活用して得られる利益の伸びは、人々が労働で手にする所得の伸びや国の成長率を常に上回ることを明らかにした。50万部の米国をはじめ世界で100万部売れた。とはいえ、700ページを超える学術研究書で1冊が5940円(税込み)もする。邦訳版を出したみすず書房も、日本での反応は予想しづらかった。」(毎日新聞 2015年1月3日) 今年度の「文化人類学」の講義では、1989年のベルリンの壁崩壊からはじまって、ワシントン・コンセンサス、フリードマンの新自由主義、略奪資本主義、そして、リーマン・ショックとオキュパイ・ウォールストリートと、資本主義の現状について話してきたので、最終講義では、ピケティが語る最新の資本論について話そうかと思ったのだが、日本語訳は、全728ページ、¥5,940で、失業者には買うお金もなければ、読む時間もない。では、どうすればよいか、というより、この本で述べられたことをふまえた上で、では、どうすればよいか、という話をするほうが学生たちにもよいだろう思ったので、この本の刊行後に行われたピケティのTEDレクチャーをかいつまんで紹介することにした。まずAmazon の「内容紹介」によれば、本の内容はこうである。 ![]() 「資本収益率(r)が産出と所得の成長率(g)を上回るとき、資本主義は、自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す。1970年代以来、所得格差は富裕国で大幅に増大した。米国では、2000年代における所得の集中は、1910年代の水準に戻ってしまった。それどころか、少し上回るほどになっている。最も恵まれない人の利益にかなうことなど、まずあり得ないのだ。」 では、どうすればよいのか。TEDレクチャーの質疑応答で、ピケティはこういっている。 ![]() ▼「トマ・ピケティ: 21世紀の資本論についての新たな考察」(2014年) 「では、どうすればよいでしょう? 富の再分配には他の方法もあります。一見魅力的な方法です。インフレーションがそうです。税法を改定するよりも通貨供給量を増やす方が遥かに簡単ですから、これはとても魅力的です しかし、しばしば私たちは お金というものの扱いをわかっていません。それが問題です。強制的収用も魅力的です。」 ![]() ![]() ![]() 「時々、一部の人が豊かになりすぎたと感じたら、資産を収用してしまうのです。しかしこれは富のダイナミクスを調整する上で、効率的な方法ではありません。戦争は更に非効率です。ですから私は、それらよりも累進課税を好みがちですが...(笑)。もちろん歴史は常にそのつど最良の策を生み出します。それにはこれら全ての要素が複雑に絡み合っていくことでしょう 。」 ![]() ![]() 「格差それ自体は問題ではないのです。不平等はある程度。イノベーションや発展に 寄与しますからね。問題はその程度です。格差が極端になると経済成長にとってのその価値は無くなり、更に悪いことには、結果的に格差が長期間続き、人々の経済的流動性が停滞することになりがちなのです。極端な格差は、我々の民主主義という基盤にとっては 良くないことがあります。それらはまさに今懸念されていることです。私達はそのような極端な、第一次世界大戦前のような格差の世界へは戻りたくないのです。ミドルクラスが国富の十分なシェアを占めるというのは経済成長にとっては悪くない事なのです。公平性や効率に関してとても 有用な状況なのです。」 「まずは小さな税率で「富裕税」を課し そこで観測される状況に対して 政策を適応するのです。ですから課税は知識の源であり、今我々が最も必要としていることなのです。」 ![]() ![]() ![]() ということである。いまでに、安倍とその不愉快な仲間たちは、「トリクルダウンはあります!」と言いはっているが、トリクルダウンなど「原発の安全神話」と同様のただの神話にすぎない。lうそだと思うなら、トリクルダウンの当事者であるはずの、このプルートクラット=超富豪の話をきいてみるとよい。 ![]() ▼ニック・ハノーアー「超富豪の仲間たち、ご注意を」 「皆さんは私をご存じないでしょうが、私は皆さんがあちこちで耳にする上位0.01%の富裕層の一人で、つまり紛れもないプルートクラット (超富豪 政治権力者)です。今日は私の仲間である超富豪の人たちに向けてお話ししたいと思っています。私たち超富豪が話し合うべき時が 来たように思うからです。政治家たちはトリクルダウン案を繰り返し唱えるとき、こう言いますね。「人件費が上がるとどうなります?雇用が減るんですよ」 本当だと思いますか? 矛盾する証拠がありますよ。1980年以来。我が国のCEOの賃金は、平均賃金の30倍から500倍に上がりました。これが人件費増加の実体です。彼らは平均賃金の何倍も稼ぎますが、彼らの雇用は増加しています。人件費の増加が高給取りの増加であることは明らかなのです。ほとんどの人は最低賃金15ドルというのは常軌を逸したリスクの高い経済的実験だと思うでしょう。私たちはそう思いません。私たちはシアトルでの最低賃金15ドル法を論理的な経済政策を維持するための策だと考えています。ワシントン州はすでに最低賃金が国内で最も高い州です。トリクルダウン支持者の言うとおりなら、ワシントン州は大量の失業者を抱えていたでしょう。ところが、ワシントン州は他のどの主要な州よりも高い成長率で、中小企業の雇用を増やしています。低賃金労働者の稼ぎが少し増えると失業が急増し、経済が崩壊すると考えるのは、もう止めませんか?そんな証拠はないのです。トリクルダウン経済論の最もタチが悪い点は、金持ちがもっと金持ちになれば、皆が幸せになるという、その主張ではありません。貧乏人が金持ちになることは経済にとってマイナスだとして、最低賃金の引き上げに反対する人々の主張です。それはナンセンスです。私や他の超富豪ら、金持ちが我が国を作ったというレトリックは、もう止めにしませんか? 私たち雇用を創り出す側は絶対に必要で、皆さんはそうではないとか、私たち富裕層の減税は成長につながるが、皆さんへの投資は債務を膨らませ、我が国を破産させるとか、私たちに関係することは、皆さんには関係ないとか、何千年もの間、こうした物語は「神権」と呼ばれていました。今日に至っては「トリクルダウン経済」です。どれもこれも誰が見たって 明らかに 利己的ではありませんか」(ニック・ハノーアー「超富豪の仲間たち、ご注意を:民衆に襲われる日がやってくる」より抜粋)(イルコモンズのふた「アベノミクス信者たち、ご注意を」より) ということで、学生たちには、このピケティとハノーヴァーの話を紹介し、もし今後だれかが「トリクルダウン」などといいだしたときには、すかさず「そんなもん、あるか、ボケ!」、「富裕税を金持ちからとれ、この道しかない。」と言い返すだけの知識と教養を身につけてほしいと思っている。 ![]() もしトリクルダウンがあるとすれば、こんな感じ。
by illcommonz
| 2015-01-04 21:35
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