
「素晴らしき哉、人生」は1946年のアメリカ映画。監督はフランク・キャプラ。アメリカ映画協会が選ぶ「感動の映画ベスト100」では1位に、2014年のアメリカの映画批評サイト Rotten Tomatoes が発表した「2014年版クリスマス映画ベスト25」でも第1位に選ばれている。アメリカでは不朽の名作として毎年末にTV放映されることから、それまでキャプラを知らなかった若い世代から再評価され、今ではクリスマスにこの映画が流れるのは定番となり、アメリカで最も親しまれた作品としてよく知られる映画である。アメリカではどの大学の映画学科でも、この映画を必ず見せて、学生の指針としている。現在、パブリックドメインとなっている。
(あらすじ)
ジョージ・ベイリーは、町一番の富豪である銀行家ポッターの圧力に負けず、真面目に働いていた。家庭にも恵まれ、事業もうまくいっていたが、そんなベイリーにある不運な出来事が起こる。そして、クリスマスの夜に、自殺を図ろうとしたベイリーの前に、B級天使のクラレンスが現れる。「自分など生まれてこなければよかった」と嘆くベイリーにクラレンスは、彼が生まれて来なかった世の中を見せ、彼がいかに素晴らしい人生を送ってきたかを理解させようとする。
宮崎駿は、ある本のなかでこう書いています。「要するに、児童文学というのは、「生まれてきてよかった」というものなんです。生きててよかったんだ、生きていいんだ、というふうなことを、子どもたちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと思います」。もしそうだとしたら、キャプラのこの映画は「おとなたちのための児童文学」といえるでしょう。「素晴らしき哉、人生」は、おとなたちに、生きててよかったんだ、生きていいんだとエールを贈る、素晴らしきクリスマス映画です。