
「三十四丁目の奇蹟」は、ヴァレンタイン・デイヴィスの原作をジョージ・シートンが脚本化し監督した1947年のアメリカ映画。1994年にはジョン・ヒューズの監督でリメイクされ、2006年には、オリジナルのモノクロ版をもとにカラー・ヴァージョンも製作された。そのほか、アメリカでは過去3回TV版がつくられ、ミュージカルとしても上演された。
(あらすじ)
ニューヨークの34丁目にあるデパート「メイシーズ」でサンタ役を務めることになったクリスは、たちまち子どもたちの人気者になる、しかし自分は本当にサンタクロースなんだというクリスには妄想癖があるとみなされ、前代未聞の「サンタクロースは実在するか」を問う裁判が行われることになる。裁判ではクリスが精神的に正常かどうかが争われ、クリスに不利な方向へ進んでゆく。そして奇蹟でも起こらないかぎり、クリスは助からないだろうといわれるなか、ついに判決の日を迎えたニューヨークでは...
「おそらく私たちは、サンタクロースの物語を完全に共有することはできないだろう。それにも関わらず、私たちはこの物語を守ろうとする努力をやめない。いったい何のためにだろうか? おそらくそれは、この物語が他の人びとの心の中で守られ、それが子どもたちの幼い魂に火をともし、そして、その炎によって私たちの身体まで温められる、そんなチャンスを失いたくないからだろう。子どもたちがサンタクロースの存在を信じてくれるなら、私たちもまた、生の意味を信じられるようになるという期待が、そこにこめられているのである。」(レヴィ=ストロース「火あぶりにされたサンタクロース」