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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼大妻女子大学 メディア文化演習「震災の文学をよむ」
▼大妻女子大学 メディア文化演習「震災の文学をよむ」_d0017381_14373379.jpg
[左] 藤田東湖「天祥正氣歌」[右] 島崎藤村「夜明け前」

▼「日本書紀」(→推古地震 599年)
 「推古天皇七年夏四月乙未朔辛酉 地動 舎屋悉破 則令四方 俾祭地震神」(七年の夏四月の乙未の朔辛酉に地動りて舎屋悉に破たれぬ則ち四方に令してなゐ(地震)の神を祭らしむ) 【地鎮】

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▼鴨長明「方丈記」(→京都大地震 1185年)
 「山くづれて川を埋み、海かたぶきて陸をひたせり、土さけて水わきあがり、いはほわれて谷にまろび入り」

 「人皆あぢきなきことを述べて、いささか心のにごりもうすらぐと見えしほどに、月日かさなり年越えしかば、後は言の葉にかけて、いひ出づる人だになし」(同上) 【記憶の風化】

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▼島崎藤村「夜明け前」(→安政地震 1855年)
 「寅年六月の地震の時だって、こんなじゃなかった。」
 「いや、こんな地震は前代未聞にも、なんにも。」
 天変地異に驚く山の中の人たちの間には、春以来江戸表や浦賀辺を騒がしたアメリカの船をも、長崎から大坂の方面にたびたび押し寄せたというオロシャの船をも、さては仙洞御所の出火までも引き合いに出して、この異変を何かの前兆に結びつけるものもある。夜一夜、だれもまんじりとしなかった。翌日は雪になったが、揺り返しはなかなかやまなかった。
 「九太夫さん、どうもわたしは年回りがよくないと思う。」
 「どうでしょう、年を祭り替えることにしては。」
 「そいつはおもしろい考えだ。」
 流言。流言には相違ないが、その三月は実に不吉な月で、悪病が流行するか、大風が吹くか、大雨が降るかないし大饑饉が来るか、いずれ天地の間に恐ろしい事が起こる。もし年を祭り替えるなら、その災難からのがれることができる。こんなうわさがどこの国からともなくこの街道に伝わって来た。」【流言】
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▼藤田東湖「天祥正氣歌」(185X年)
 「天地有正氣 雜然賦流形 時窮節乃見 一一垂丹青」(天地には、正気(せいき)がある。それは雑然として、かたちをなさないまま、この世にある。しかし、動乱の時代には、正気をもととする節義があらわれて、そのひとつひとつが歴史に残る。 【節義】

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▼夏目漱石「人生」(1896年)
 「もし人間が人間の主宰たるを得るならば、もし詩人文人小説家が記載せる人生の外に人生なくんば、人生は余程便利にして、人間は余程えらきものなり、不測の変、外界に起り、思ひがけぬ心は、心の底より出で来る、容赦なく、かつ、乱暴に出で来る、海嘯と震災は、ただに三陸と濃尾に起るのみにあらず、また自家三寸の丹田中にあり、険呑なる哉」 【思いがけぬ心】

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▼大妻女子大学 メディア文化演習「震災の文学をよむ」_d0017381_1438174.jpg
[左] 田山花袋「東京震災記」 [右] 村上春樹「神の子どもたちはみな踊る」

▼田山花袋「東京震災記」(→関東大震災 1923年)
 「自然というものは、どうしても深く考えて見なければならないものである。自然を考えずに、人間のことばかりを考えると、理想にばかり向って進んでいると、こういう災禍に接した時に、天を恨んだり神を呪ったりしなければならなくなる。」【人間と自然】

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▼寺田寅彦「震災日記より」(→関東大震災 1923年)
 「帰りに追分辺でミルクの缶やせんべい、ビスケットなど買った。焼けた区域に接近した方面のあらゆる食料品屋の店先はからっぽになっていた。そうした食料品の欠乏が漸次に波及して行く様が歴然とわかった。帰ってから用心に鰹節、梅干、缶詰、片栗粉などを近所へ買いにやる。何だか悪い事をするような気がするが、二十余人の口を託されているのだからやむを得ないと思った。」【罪悪感】

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▼村上春樹「神の子どもたちはみな踊る」(→阪神淡路大震災 1995年)
「そんなことを言い出したら、もっと前に報いを受けて然るべきだったのだ。僕のまわりでこそ、都市は激しく崩れ去るべきだったのだ。」【報い】

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▼村上春樹「カタルーニャ文学賞受賞スピーチ」(→東日本大震災 2011年)
「今回の大地震で、ほぼすべての日本人は激しいショックを受けましたし、普段から地震に馴れている我々でさえ、その被害の規模の大きさに、今なおたじろいでいます。無力感を抱き、国家の将来に不安さえ感じています。でも結局のところ、我々は精神を再編成し、復興に向けて立ち上がっていくでしょう。それについて、僕はあまり心配してはいません。我々はそうやって長い歴史を生き抜いてきた民族なのです。いつまでもショックにへたりこんでいるわけにはいかない。壊れた家屋は建て直せますし、崩れた道路は修復できます。結局のところ、我々はこの地球という惑星に勝手に間借りしているわけです。どうかここに住んで下さいと地球に頼まれたわけじゃない。少し揺れたからといって、文句を言うこともできません。ときどき揺れるということが地球の属性のひとつなのだから。好むと好まざるとにかかわらず、そのような自然と共存していくしかありません。」
【共存】
by illcommonz | 2016-04-25 14:41
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