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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼トム・ヨーク、オアシスをうたう
d0017381_2136298.jpgという、まことにレアな音源を収めた
レディオヘッドの海賊盤がありました。
しかもトム・ヨークが途中でアホらしく
なってきて歌うのをヤめる(笑)というので、
そんな面白いものはぜひ聴いてみたい
と思い、ちょうど raster-noton から
リリースされたばかりの池田亮司の
新譜とそれのどちらをいま聴くべきか、
緊急のイルコモンズ会議をひらき....

店頭で喧々諤々の議論を尽くした結果、「ゆく川の流れはたえずして、しかも、
もとの水に非ず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しく
とゞ まることなし」と、ブート(*海賊盤のこと)の諸行無常性(ものごとは常に
同じ状態にはない)を主張したイルコモンズ叙情派の意見が採用され、
レディオヘッドの The Golden Unplugged Album を買い求めました。
価格は日本円に換算して末端価格2,590円、収録曲名は下記のとおりです。

d0017381_19253539.jpg
The Radiohead
The Golden Unplugged Album
制作年不明 
レーベル記載なし
商品番号なし
*Amazon.com での取り扱いなし
01|Lozenge of Love.
02|Subterranean Homesick Alien.
03|Killer Cars
04|Wish You Were Here.
05|Creep.
06|Black Star.
07|Street Spirit.
08|Wonderwall.
09|Blow Out.
10|Lucky.
11|High & Dry
12|Fake Plastic Trees.
13|How I Made My Millions.
14|Bulletproof
15|Banana Co.
16|Yes I Am.
17|Life in a Glasshouse.

8曲目が「モーニング・グローリー?」に収録されてた、みんなが大好きなあの
曲ですが(しかしあれからもう10年も経つのか...)、これはオアシスのカヴァー
というよりは、リアムの声帯模写までしてみせた(しかもそれが滅法うまい)
幕間のジョークみたいなもので、ジャックスの早川義夫がザ・タイガースの
ヒット曲「シーサイドバウンド」をライヴでうたって見せるときのあの感じに近い
ですね。つまりアイドルのオアシスがタイガースで、社会派のレディオヘッドが
ジャックスという、そういう関係です(って、もちろん、トム・ヨークはそんなこと
思ってないでしょうけどね)。

5曲目の「Creep」や12曲目の「Fake Plastic Trees」はオフィシャル・
アルバムに収録されてる曲のラジオ・セッション版やライヴ・ヴァージョンですが、
他にコンピレーション・アルバムやシングルのB面としてのみリリースされた曲や
アルバム未収録の曲が多いです (たとえば 1、3、4、8、13、15、16、17など)、
海賊盤の常として、ライナーノーツがついてないので、ネットで調べてみると
例えば15曲目の「Banana.co」は、路上で音楽を鳴らして集まることを禁じた
CJA法案(クリミナル・ジャスティス・アクト)に反対して編集されたコンピレーション・
アルバムに収録された曲だそうで、そう考えると、下の歌詞は、トム・ヨークの
「理由なき憂鬱」をうたったものではなく、その当時の具体的な政治状況を背景
にした「社会的理由のある憂慮」と抵抗をうたったものだということがわかります。

なにもかもみんな地下にもぐったとしても、
それでも僕らはそれをどこかから掘りだすだろう。
なにもかもみんな燃えつきたとしても、
それでも僕らはそれをどこかからひっぱりだすだろう。

And everything's underground,
We've gotta dig it up somehow, Yeah, yeah
Everything's burning down,
We gotta put it out somehow, Yeah, yeah.

13曲目の古いピアノのペダルが、木の床をゴツゴツとノックする音がはいった
「How I Made My Millions」には、廃屋の屋根裏でこっそり録音されたような
薄気味のわるい空気感があります。でも、何といっても、本当におそろしいのは、
ピンクフロイドの「あなたがここにいてほしい」をカヴァーした曲で、その凍てつく
ような寂寞感は「OKコンピューター」や「キッドA」の荒涼としたあの空気を
さらに摂氏何度か下げたような極寒のサウンドになっています。特に後半は、
とてもこの世のものとは思えない幽玄な世界が展開していて、まるであの世から
漏れ聞こえてくるようなトム・ヨークの消え入るような悲鳴に背筋がゾッとします。

とにかく、僕は、そう、僕は、君にここいていてほしいんだ。
僕らは水槽のなかを泳ぐ失われたふたつの魂なんだ。
僕らは何年もずっと同じ世界をかけづりまわってきたけど、
そこで見つけたのは、あのいつもの恐怖じゃなかったっけ?

how I wish, how I wish you were here.
we're just two lost souls swimming in a fish bowl.
year after year running over the same old ground.
what have you found? the same old fears.

ネットで調べたところによれば、この曲の後半、混線したラジオのように
突然はいってくる声と雑音は、トム・ヨークがどこかのホテルの部屋の
電話を通して歌った声とそこで偶然ついていたテレビの音らしいのですが、
それはラジオを使って死者と交信するという冥界ラジオのそれを思わせる、
かなりおそろしいもので、どんな曲のきれっぱしでも、ボーナストラックにし、
パッケージ化してしまう貪欲なレコード会社も、さすがにこの曲だけは、
ヤバすぎて手が出せなかったのだろうな、と思ってしまうようなトラックです。
あるいは、こんなおそろしいものを出してしまうと、レディオヘッドの商品
価値が下がると考えたのかもしれません。

d0017381_19424197.jpgそういうことは特にめずらしいことでもなく、作品が
完成してもレコード会社の判断で発売が
無期延期されたり、そのままデッドストック
になってしまう不世出の傑作は、結構あります。
こないだちょっとふれたRCサクセションの
「シングルマン」が実はそうで、完成した後、
1年半くらい発売延期になった後、そのまま
一度も世にでることなく、4年間くらい廃盤に
なっていた、いわくつきの作品です。

実はサウンド的にもこのレディオヘッドの海賊盤と「シングルマン」はどことなく
似ています。異様に重たいウッドベースとアコースティックギターが奏でる暗く
不吉なドライブ感は「甲州街道は秋なのさ」のバッド・トリップ感と同質のもので、
断末魔の叫びのようなスクリーミングは、友人の死をうたった「ヒッピーに捧ぐ」を、
そして凍りつくようなカン高いピアノと分厚いストリングスをバックにした終末感あふれる
美しい曲は「スローバラード」のそれを思わせます。といっても、こういうのは実際に
音を聴いてみないとちっとも分からないでしょうから、もうこのへんでやめますが、
レディオヘッドが好きな方はぜひ一度、この戦慄の海賊盤を聴いてみてください。
それとRCの「シングルマン」が好きな方もぜひ。

なにしろ、はじめは池田亮司の新譜を聴けなくてヘソをまげてたイルコモンズ
音響派も、途中から思わず正座して聴いてたくらいの傑作なので、ぜひどうぞ。

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d0017381_19471590.jpg[追記] 池田亮司の新譜「dataplex」は
raster-notonのサイトで試聴できます
相変わらず音のキレと解像度が好いです。
しかも今回のはなんだかダンサブルな感じで
初期の頃にもどったような気がします。
バーコードをモチーフにしたアートワークは、
これまでになく余白の少ない、グラフィック的情報量の多いデザインなので
ちょっと意外でしたが、その分、音の量も増加していたので、なるほどと
思いました。
by illcommonz | 2005-12-11 19:49
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