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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼ハレルヤ、レナード

▼レナード・コーエン「ハレルヤ」(2008年版)

 トム・ウェイツとレナード・コーエンとボブ・ディラン、このうち誰がいちばん最初に天に召されるのだろう、とかねがね思っていたが、レナード・コーエンだった。たぶん理由は、神をたたえる、こんなよい曲を書いていまったからだろう。あるいは、エリザベス・ギルバートが紹介していたトム・ウェイツのはなしがほんとうなら、そのせいかもしれない。

 「みなさんも経験があると思いますが、アイデアというのはどこからともな降りてくるんです。これにとり乱すことなく、正気をたもちながら、どう対処してらよいのでしょう。現代におけるその対処法の手本となるのは、ミュージシャンのトム・ウェイツです。数年前、彼と雑誌の取材で、この話をしました。彼の人生は、典型的な、苦悩する現代作家でした。彼は自分の手に負えない創作の衝動をコントロールしようと苦心していました。彼の内面から湧きあがる衝動をです。そんな彼も歳をとって、ずいぶん穏やかになりました。ところが、ある日、ロスの高速道路を走っていた時、すべてが一変しました。車を飛ばしていたら、突然、頭に曲の断片が聴こえてきたのです。それは、とらえがたく、もどかしいひらめきとして。これはたまりません。まさに待ち望んでいたすばらしい瞬間なのに、紙と鉛筆がないんです。テープレコーダーもありません。彼はあわてました。「いま、これを逃したら、俺は一生後悔するだろう。しかし俺にはムリだ。俺じゃダメだ」と思って、彼は車をとめ、思いがけない行動にでました。彼は空を見あげながら、こういったそうです。「なぁ、あんた、俺が運転してるのが分からないのかね。いまここで曲が書けるとでもいうのかね。もし曲を書かせたいんだったら出直してきてくれ、ちゃんと相手ができるときにな。そうでなきゃ、ほかをあたってくれ、たとえば、レナード・コーエンはどうかね?」(エリザベス・ギルバート)

 このときトム・ウェイツがうけとるはずだった天の思し召しを、コーエンがうけとってしまったせいで、順番がくりあがってしまい、先に天に召されてしまったのかもしれない。そういうものだ。

「レナード・コーエンさん死去 世界的シンガー」
「世界的な人気シンガー・ソングライターのレナード・コーエンさんが死去した。82歳だった。10日、コーエンさんの公式フェイスブックが発表した。死因は明らかにしていない。コーエンさんはカナダ生まれ。「ハレルヤ」や「さよならマリアンヌ」などの代表曲があり、渋いしゃがれ声で世界中のファンを魅了した。詩人・小説家としても知られる。自己の内面などを歌い上げ、「ノーベル文学賞にふさわしい歌詞を書くミュージシャン」と評価する声もある。」(2016年11月11日 朝日新聞)

 もしこの論評がただしいのなら、レナード・コーエンがとるはずだったかもしれないノーベル文学賞をとってしまったボブ・ディランのことが心配である。

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[追記1]
 レナード・コーエンの「ハレルヤ」は数えきれないくらい、たくさんカバーされていて、名演も多いのだが、カバーでは、フォーク・パルチザンの「瓶のなかの球体」に収録されてたイマイ・アキブのこのヴァージョンがすきだ。


▼イマイ・アキノブ&エミ・グランド「ハレルヤ」(LIVE音源)

 「ハレルヤ」というリフ以外の歌詞は、オリジナルとはまったく別ものだが、そこがいい。特に「はしたないことばが、まるで花のようだろう、うたは聖なるこわれもの」という一節がとてもいい。ちなみに、オリジナルの歌詞では、こんなふうに歌いはじめられる。

 「かつてダヴィデ王が神をよろこばせるのに使った聖なるコード進行があったと聞いている。でも、ほんとうは、音楽なんてどうでもいいんだろう、なぁ? まぁ、いいさ、ともかくそれは、こう進んでいく。4から5へ、そしてマイナーでさげて、メジャーであげる。途方にくれる王がいまハレルヤを書いている。ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤと。」

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[追記2]



 「コーエンの死を経て間もない11月12日、コメディ番組「サタデーナイト・ライヴ」で、「ハレルヤ」が、また流れた。ジェフ・バックリーが割愛した最終ヴァースが、ここでは最も印象的だった。

ベストは尽くしたけれど
大したことはできなかった
感じることができないから
せめて触れようとした
真実はすべて語った
たぶらかすためにここに来たわけじゃない
すべては失敗に終わったけれど
歌の王の前に立って
いま口をついて出るのは
ハレルヤばかり

 ヒラリー・クリントンに扮したエミー賞受賞のコメディエンヌ、ケイト・マキノンは、不世出の詩人レナード・コーエンの死を悼むとともに、トランプとの対決で討ち死にしたヒラリーを、うっすら目に涙を浮かべながら弔ったのだった。」

 「曲が使われるのは嬉しいよ、もちろん。考えてみれば、一度はボツになったアルバムの作品だからね、いってみれば復讐を果たしたみたいな気持ちがないわけではない。でもついこないだ、『ハレルヤ』が劇中で流れる『ウォッチメン』っていう映画のユーザーレヴューを読んでいたら、あるユーザーが、『いい加減、テレビや映画で「ハレルヤ」を使うのに禁止令出してくんないかな』と書き込んでたんだ。まったく同感だね。いい曲だとは思う。けれどもみんなが歌いすぎだ。」(故レナード・コーエン)






by illcommonz | 2016-11-11 13:49
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