![]() はじめに、ふた、ありき
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(イルコモンズの「文化人類学解放講座」より)
![]() おかしな 取り決めを するくらいなら 何も決まらない ほうがましだ! No deal is better than bad deal! を合言葉におこなわれた、WTOの閣僚会議に抗議するアクションのことが、日本の メディアでも、ほんのすこしだけ報じられてましたが、ニュースとして報じられたのは、 最終日前夜の抗議行動で韓国のデモ隊と機動隊が衝突し、多数の逮捕者が出た、 というネガティヴ・キャンペーン的なもので、しかも、どうして今回、そんなに韓国の デモ隊がことのほか強い抵抗を示したのかというその理由については何のコメント もありませんでした。無論、その背景には前回2003年のカンクンでのWTO会議の 際に、抗議の割腹自殺をしたイ・ギョン氏への想いがあったはずで、今回のデモは、 その弔い合戦としての意味づけがあったがゆえに、その抗議はことさら激しいもの となったくらいの論評があってもいいはずですが、そういう論評もなしに、たとえば、 下のように「非合法」や「非政府」といった「非」のしるしのついた記事と写真だけを 見ると、まるで「非」のある暴徒が鎮圧されたかのように見えてしまいます。 ![]() そういうのにただ文句をつけているだけでははじまらないということではじまったのが、 インターネットを活用した「インディペンデント・メディア」で、そうしたオルタナティヴな メディアを通して、ものごとを見ると、ずいぶん世界の見え方がちがうものです。 「文化人類学解放講座」では、雑誌「COLORS」にならって、文化人類学を、 「世界の周辺で起きていることについての学問」というふうにとらえてきましたので、 「大きなメディア」が報じる「いま・そこで」起きたニュースからは見えてこない 「いまそこのそとで」起きていた事実の方に眼を向けてみたいと思います。 以下は Hong Kong People's Alliance on WTO という香港のサイトと Kanalb というドイツのインディペンデント・メディアが配信していた、今回の WTO会議に抗議する人々のデモンストレーションの様子を伝える写真と ムービーのデモンストレーションです。 ![]() 拡大してみる ![]() - WTO versenken! (17/12/2005) 6分20秒 9MB (RM) No Aid For Unfair Trade! (16/12/2005) 2分30秒 4MB (RM) Hongkong12.12.05 (12/12/2005) 1分40秒 2MB (RM) これを、文化人類学的な、というよりは、文化人類学解放講座的な視点で見たとき、 気になるのは、こうしたアンチ・グローバリゼーションの運動の現場で、普遍的とは いえないまでも、文化をこえて共有されるエスペラント的、あるいは、コモンズ的な、 抵抗の文化が形成されつつあるということがまずひとつありますが、もうひとつは、 それと同時に、ローカルな文化のデモンストレーションがそこに見られるということ です。特にWTOに対する抗議の主な主体となっているのは、農業に従事している 人たちで、そこでは、そうした自らのアイデンティティと生業を、表現するというよりも、 むしろ「デモンストレーション」するために、その土地固有の特徴的な色使いやデザ インの衣服が自発的に選ばれて身につけられていることに気がつきます。それは いくぶんステレオタイプ的なものではあっても、しかし、誰かからおしつけられたもの ではなく、自発的に選びとられた「文化の表象」であり、なにより政治的なデモンス トレーションのための道具として戦術的に採用された記号です。こういうデモンスト レーションは、一般にプロテスト(抗議)やレジスタンス(抵抗)として見られますが、 見方をかえれば、それは社会に対するクリティカル(批評的)な行為でもあります。 そして、もともとこのクリティカルということばには、危機に瀕した状況やきわどい 状況という意味もあり、まさにそうした緊迫した状況のなかで、選びとられた文化 の表象には、それ以外のものではなく、まさにこれしかないという特別の重みが あり、典礼的というよりはむしろ展示的な価値に近い、いわば、文化をデモンスト レーションするのにより適したものとして選ばれたものが、どういうものなのかを 考えてみると、そこから何か分かることがあるかもしれませんし、それによって、 文化を安定した相のもとで観察し記述していたときにはわからなかったことが、 この一種の例外状況のなかで見えてくるかもしれません。そういうこともあって、 WTOへの抗議運動だけでなく、さまざまなアンチグローバリズムの運動の中で ひとびとがデモンストレーションのために自発的に選び出してきた文化の表象を つきあわせ、つなぎあわせて考えてみるということをやってみたいと考えています。 さしあたり「デモンストレーション・オブ・カルチャー」とでも名づけられそうな この研究は、いまのところそれに類するものが見あたらないので、うまくゆけば、 文化研究の新機軸になるかもしれませんが、かといって、この思いつきを 独占したいとは思いませんので、興味をもった方は、どうぞ勝手に自由にやって くださって結構ですが、できれば共同でやってみたいとも思っていますので、 『ライティング・カルチャー』以後の文化人類学の閉塞した状況をうちやぶり、 スローガンではなく、本当に「いま・そことそのそと」の現場で「行動する人類学」 を実践し、本当に「文化人類学を再想像」してみたい、という意欲をお持ちの方が いらしたら、経歴・肩書き・業績一切不問で、この研究プランを解放しますので、 「文化人類学解放講座」まで、ご連絡ください。
by illcommonz
| 2005-12-19 07:32
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