はじめに、ふた、ありき
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「私は「人間は一度の人生の中で、できるなら
一度は美術作品の前で嘔吐してみるべきだ」 と信じている。このような信念を語る必要が生 じるのは、会田誠のような作家の場合に限る。 したがって、この信念をただしく伝えるには、 会田誠を肯定し、賞賛するというパラドクスに 陥ることになるが、それでよいと思う」 (イルコモンズ *会田誠「翻訳」を一部改竄) ということで、会田誠の「恋の前厄」を見てき ました。美術作品を見て、そのあまりの神々 しさに圧倒されて、失神することを俗にスタン ダール・シンドロームといいますが、会田誠 の作品の、底なしの無意味さに眩暈を覚え、 嘔吐しそうになることを、以後、ロカンタン・ シンドロームと呼ぶことにしたいと思います。 会場の中央に、おそらくはコンセプチュアル・アートの「見立て」でつくられたと思しき、 意味のない標識があり、その奥の壁にコスースの作品を思わせるパネルがあって、 入口からながめると、ちょうど道標のように見えるのは、うまい配置だなと感心しまし たが、別に意味はありません。またゲロのような絵ではじまり、ゲロの絵で終わる、 という展開も見事でしたが、やはり意味はありません。「おにぎり仮面」のビデオは、 実相寺昭雄が撮ったウルトラシリーズのような薄暗さとエレジーがあり、おにぎり 仮面の狂ったプロポーションはカネゴンやピグモンのそれを思わせます。マーラーか なにかの曲がバックに使われていましたが、へんなエコーとうなり声のようなものも 混じっていて、おそろしかったです。しかし、意味はありません。無意味の荒野に メッセージのない寒風が吹き荒びます。かまやつひろしの歌にある「なんにもない、 何もない、まったく何にもない」あの大地に「ただ風が吹いてる」という風情です。 その「星には夜があり」そして「朝がおとづれる」と、おにぎり仮面が目をさましますが、 なにもしません。木の節穴をみつめ、金魚をながめ、やがてふらふらと外に出かけ、 地面の植物を手にとって、しげしげとながめまわした後、「無人島」を後にしますが、 依然としてそこにはまだ意味がありません。そこから「おにぎり仮面の小さすぎる旅」が はじまり、「おにぎり仮面よ、どこへゆく」というナレーションがはいりそうな感じで、 逆光の夕日にむかってふらふらと歩いてゆきます。その先どうなるかは全く不明で、 「つづき」がたのしみです。カフカのような不条理さなら、多少の免疫もありますが、 会田誠の不条理さはなんべん見ても決して慣れることができなくて、毎回必ず胃が 悪くなる感じがし、会田誠の胃の強さに感服させられますが、「おにぎり仮面」には、 クレクレタコラのような狂ったエレジーがあり、おにぎりというインディペンデントな 暮らしのアイコン、というか怪物が、このあと、デカダンスのないわるい世情の社会と どのようにわたりあいながら、大きな旅の終わった時代にどんな小さな旅をするのか、 たのしみです。おにぎり仮面よ、どこへゆく (つづく)。
by illcommonz
| 2005-12-25 02:40
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