はじめに、ふた、ありき
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(イルコモンズの「文化人類学解放講座」より)
そういえば、今回観る「ナコイカッツイ」について、作家の中原昌也がこんなふうに 云ってました。 「これはインディアンがアメリカに送りつけた「貞子」のようなビデオムービーですよ」 なるほど、さすが、うまいこと云うなと思いました。とはいっても、ビデオを見た1週間後に 何かが起きるような映画ではありませんので、どうかご心配なく。ただ見る前と見た後では 僕らがいま生きている世界に対するものの見方がすこしぐらいは変わるかもしれませんが。 それから今回も「コヤニスカッツィ」と同じく、別に退屈してないのに、見ている途中で、 なぜか無性に眠くなるという現象が起きるかもしれません。おそらく今回の作品の方が、 そうなる可能性が高いと思います。というのも、人間の脳というのは、処理しきれない 過剰な情報に継続的にさらされて脳に過大な負荷がかかると、一種の防御反応として 脳が頭を睡眠モードに切り替えるそうです。なので、それは脳が悲鳴をあげてるわけ なので、もし見てる途中で眠くなったら無理をせず、あっさり寝てください。それに実は こうした「過剰な情報の氾濫による思考の停止や判断の低下」というのは、この映画が 現代社会、あるいは、スペクタクル社会の特徴のひとつとして描こうとしたことでもある ので、それに敏感に反応して眠りこんでしまうのは、そのことを自分の体験を通して 認識する、よい体験学習の機会になると思いますので、授業中だからといって、遠慮 せずに、堂々と寝てください。大切なのは、そうした思考や判断を麻痺させる見えない 「情報爆弾」が僕らの脳のなかに日々撃ち込まれ、記憶や知識のスクラップ&ビルドが 起こっているということを知ることで、そう考えると、この作品がリアルな実写映像をあまり 使わなかった理由もわかると思います。そして、現代の戦争がどこでどういうかたちで 起こっているかもわかると思います。 第一作目の「コヤニスカッテイ」は北アメリカにロケして、そこでのバランスのこわれた 生活とスピードにフォーカスをあてた作品でした。第二作目の「ポワカッティ」は、インド、 アジア、南米、中国、中東にロケし、そのバランスのこわれた生活とスピードが、北米 以外の地球の多くの国と地域にまだ拡大してゆくプロセスにフォーカスしたものでした。 それは一般に資本主義経済やアメリカの価値観が世界を覆うというかたちで語られる ことの多いグローバリゼーションをそれとは別の視点から見せてくれるもので、とりわけ 目に見えないスピードや情報の爆発は、物質文化のみならず、それが人間の生き方や ものの考え方という精神文化にまで変化をもたらすということを教えてくれています。 ということで第三作の「ナコイカッツィ」では、この作品がどこにロケし、何にフォーカスし、 そして、どのような出来事を叙事詩的に描き、どのような未来を黙示しているのかを 考えながら、見てみてください。 それから、当日は講義のはじまる10分くらい前から、 「セイクレッド・プラネット」という作品を「教材」として 試写上映します。これは、2004年に制作された ディズニー制作のドキュメント映画で、「コヤニスカ ッティ」を見た人なら、「あれ、これって?」と思うような 映像手法でつくられています。また、「ミッキーマウス、 ハイチへ行く」を見た人なら、「いってることとやってことが ずいぶんちがうなぁ」と思うようなナレーションを聞くことが できますので、興味のある人は、すこし早めに教室に 集まってください。 [追記] 「カッツィ・トリロジー(3部作)」はこれで完結ですが、いま、ゴドフリー・レジオと フィリップ・グラス、それに第一作「コヤニスカッツィ」の撮影を担当したロン・フリッケが 再びチームを組んで、特定の作者をもたない新しいタイプの映画の共同製作を進めて いるようで、その映画は「野蛮なエデン」というタイトルになることが予告されています。 下記のサイトにある「ストーリーボード」を見ると、9.11、新保守主義、自爆テロ、 貧富の格差、原理主義、ウォールマート商法などをとりあげた映画になるようです。 気になるのは、後半部に挿入される「笑い」と「喜劇」で、それが希望のそれなのか、 それとも発狂のそれなのか、そのへんが見どころかもしれません。現時点ではまだ 完成の見込みが立ってないようですが、この「ストーリーボード」や作者のない共同 制作という映画づくりの方法は非常に示唆的なので、ぜひ参考にしてみてください。
by illcommonz
| 2006-01-15 19:12
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