はじめに、ふた、ありき
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ポレポレ東中野でいま開催中の吉田喜重監督作品特集
「変貌の倫理」で、「嵐を呼ぶ十八人」を観てきました。 ともかくまずは、出てくるどのカットもどのカットも画面がよくて、 その映画的構図のすばらしさに目を奪われました。しかも その画面のよく動くこと。最前列の真ん中の席で見たので、 見てるあいだじゅう、頭を右に左にふりながら観てました。 社会派映画とはいっても、山本薩夫や熊井啓のような物語 説話的な作風ではなく、あくまで画面で活写してゆくという つくりで、戦後イタリアのネオリアリズム映画の輝きをみてる ときのような錯覚をおぼえました。ストーリー的にいっても、 「にがい米」と「仁義なき闘い」の間に位置づくような映画です。 みどころは、常に有象無象の「群れ」として登場してくる18人の姿で、隅々まで 精密に設計された画面のなかにその群れが現われるたびに起きる静かな破調と 乱調にゾクゾクさせられます。特に、この18人が映画的な物語装置を置き去りに して逐電してゆくシーンは圧巻です。ここがおそらく「当時の社会派映画に対する 批評的レスポンス」なんだろうなと思ってみました。聞けば「嵐を呼ぶ十八人」と いうタイトルは松竹が興行むけにつけたものらしく、タイトルだけ見ると「野球映画?」 ともとられかねないものですが、そのタイトルとは裏腹に、この作品で描かれて いたのは、決して「チーム」にならない「群れ」のしたたかな「生の政治力」では ないかと思います。 あと、上映に先だって蓮実重彦氏の解説がありました。それを聞きながら、 そういえば、画面をまず見るクセは『表層批評宣言』や『監督小津安二郎』で たたきこまれたものだったなぁと思い出しました。と同時に、誰もが語りたがる 映画の説話的部分やドラマには手をふれずに、その外縁をふちどりながら、 やがてスクリーンをまなざす体験の方へと誘いこんでゆく誘拐魔的な活弁術は 巧みだなぁ、、、と改めて感心しました。タイプはかなりちがいますが、往年の 淀川長治の解説にもそういう巧みなハズシがあったことなども思い出しました。 なにはともあれ、映画に身を捧げてしまった人の活弁つきで初見の映画を見る というのは、ずいぶん贅沢な感じがして、好いものだと思いました。 ------------------------------------------------------------ [追記1] 後日、ポレポレ東中野さんから特別鑑賞券をいただきました。 気前よく4枚もくださったので、半分は自分で使って、残りの半分は、 どなたかにおすそわけします。いつも持ち歩くようにしてますので、 どこかで遭ったときに、申し出てくだされば、その場でさしあげます。
by illcommonz
| 2006-02-02 09:28
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