はじめに、ふた、ありき
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日本円にして450円、リンツ社のエクセレンス・チョコレートに
「ハイカカオ99%」(カカオの含有率99%のビターテイスト)と いうチョコレートがあります。さっき近所のスーパーに、きのこ 類を買い集めにいったら、製菓コーナーでヴァレンタイン・デイの チョコレート・セールをやっていて、そこの棚にそれがならんで いたので、「おやおや、これがウワサにきくアレか、どれどれ、 くんくん」とにおいをかいで、ためすがめつした末に、ひとつ 買い求めてみることにしました。家にもどって、箱の裏にある 説明書き(注意書き?)をみると、 「この製品はカカオ豆の力強さと豊かさのすべてを 表現したチョコレートです」 と書いてあります。この「表現」という表現に、これが単なる「食品」ではなく、 「作品」であるのだということがうかがえます。そして説明はさらに次のように つづきます。 「その魅力を存分に楽しんでいただくために、まずエクセレンス「70%カカオ」 から食べ始め、次に「85%カカオ」というように、カカオ含有率が高いチョコ レートの味覚に慣れてから召し上がることをお勧めします」 ということらしいのですが、あいにく450円のチョコを3つ買えるほどの経済的 余裕はなく、一個だけですでに、今夜の夕飯のおかず代をはたいてしまったので、 「99%カカオ」ひとつと、しめじをひとふくろだけ買って帰りました。 これまで含有率65%のものは食べたことがあり、これを四捨五入すれば70% になるのだから、85%をとばしても、まぁなんとかなるだろう思って、その限りなく まっ黒に近いチョコのかけらを口にはこんでみたところ・・・・・・・(暗転) まさにこれは「食品」ではなく、カカオをコンセプチュアルに表現した「作品」だ と思いました。モノリスを思わせるこの物体には、チョコのあまさというものが まったくなく、はじめは回虫検査の試験薬のような味がします。ところがしばらく 口の中にいれていると、あたためられたカカオの香ばしさが口から鼻にぬけ、 ふとした拍子に「あ、いま、ちょっとあまかった!」という甘さの発見の瞬間が おとずれます。ものいわぬモノが語りはじめるその感じは、「もの派」の作品 づくりを思わせるもので、原質の奥にひそんでいた何かがふっと姿を見せる 「立ち現れ」のようなものを体験することができます。「もの派」の作家には、 もうしわけないですが、このチョコレートを口にしてはじめて「もの派」の作家 たちがやろうとしていたことを実感的に理解できたと同時に、これまで見た どの「もの派」の作品よりも、「もの派」がめざしたものを実現していると 思いました というわけで、「作品」としてはよくできているのですが、「たべもの」としては、 正直あまりおいしいとは思えませんでした。もちろん決して不味くはないですが、 「ひとの口にあわない」という気がしました。やはりチョコレートはほろ苦さと 甘さがぱっと口にひろがって、口に入れた瞬間にあたまがとろぅっととろける ところが魅力であり、またよろこびでもあるので、そういうチョコレートのほうが、 僕は好きです(といいながら、もう3分の1くらい食べてしまった)。それにそもそも、 3つそろいで買わないといけないというのは、お金のない低所得生活者むきでは ないので、自分には身分不相応なものに思えましたし、やはり、チョコレートは、 子どもが自分のおこずかいで無理なく買えて、食べた瞬間に思わず顔がニッコリ するようなものが一番だと思います。 ただ、「ひとの口にはあわない」とはいえ、このチョコに含まれてるカカオの力強さと 豊かさは大したものなので、それを活かして、これをそのまま食べるのではなく、 料理の香辛料として使ってみることにしました。もともと今日の夕飯の献立は、 きのこカレーの予定だったので、苦味のスパイスとしてこのチョコをひとかけら ルーに入れてみることにします。いつもはコーヒーをいれるのですが、たぶん それよりはずっとおいしくなると思います。 ------------------------------------------------------------ [追記] 案の定、カレーにいれたら、ばかうまでした。コーヒーとは比べ物に ならないくらい芳醇な苦味とこくがでました。玉ねぎの甘みと相性が好いようです。 一晩寝かした明日がたのしみです。
by illcommonz
| 2006-02-12 20:13
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