
「あゝ、人心(じんしん)の荒廃、ここに極まれリ、
いよいよ世も末だ、末法の世界だ...」と思わざる
得ないような
非情な事件ばかりがやたらと続き、
「こんなんじゃ、いつなんどき、天罰が下って、
天変地異が起きても、おかしくないな...」と思って、
意外に迷信ぶかいところのあるイルコモンズは、
「非
情常持出袋」なるものをこしらえました。
最初はマニュアルどおりに、軍手、ガムテープ、
ウェットティッシュ、ろうそく、ラジオ、携帯充電器、
ミネラルウォーター、救急用具、フラッシュライト....といった具合に、ライフラインを
確保するために必要最小限度のモノだけを、ストイックにパッキングしてたのですが、
そのうち「何だかコレはちがうな、人はライフラインのみにて生きるに非ずだ」という
気がしてきたので、チョコレートとタバコを1箱づついれることにしました。それから、
日頃の自分の習性を考えると、非常なる時にはたぶん何か書きたくなるはずなので、
ボールペンとノートもいれました。それと、いろんなものがいっぺんに失われてしま
った時は、その空白を埋めるための音楽が必要になるので、ハモニカもいれました。
戦後の焼け野原のことをイメージしていたら、花森安治の文章を思い出したので、
「暮しの手帖」特製の「ふきん」もいれることにしました。あと、こどもには甘いものと
やわらかいものが必要なので、黒糖入りのはちみつとクマのぬいぐるみもいれました。
「非常持出袋」のおなかが、ぷっくり出てるのは、そのせいです。
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[追記] このあとも、さらにいろんなものをつめたら、袋にはいりきれなくなって、
こうなってしまいました→
非常持ち出しぶくろ