
どこの楽器店の誰がこしらえたものかは知りませんが、
今回リリースされた「いわゆるビンテージ」リストを
よんでて、ふふふ、と笑った項目がひとつあります。
TEISCO の次に、Texas Instruments 社の
「スピーク&スペル」が、ビンテージリストのなかに、
こっそりまぎれこんでいました。たぶん「経産省の
役人どもには、どうせわかりっこないだろう」と考えた
リストの編集者がイタズラで書きくわえたのでしょう。
とはいえ、1978年に発売されて、いまはもう製造していない電気製品なので、
たしかに「いわゆるビンテージもの」といえば、そうなのですが、どちらかというと、
「なんちゃってビンテージ」という感じでしょうか。もともとこのスピーク&スペルは、
子ども向けの知育玩具だったのですが、クラフトワークが電子楽器として使い、
のちにテイ・トウワなどがトラックづくりに使用したことから、おもにテクノ界隈では、
「電子楽器」として使われています。たしか、スピルバーグの映画「ET」のなかで、
エリオットがETにことばを教えるのに使ったことで有名になったと記憶してます。
ご存知ない方は、
ここのサイトにヴァーチャル体験版がありますので、さわって、
音をきいてみてください。イルコモンズもいたずらでこんなものをつくってみました。
↓
#"PSEに呪いの呪文を(Speak a spell on PSE)" 21秒 mp3 432KB

このスピーク&スペルとならんで
有名なおもちゃの電子楽器が、
スタイロフォン(stylophone)です。
これもクラフトワークが1981年の
「ポケット・カルキュレーター」で演奏に
使ったことで、よく知られるようになりました
(とはいっても経産省の大臣や役人たちは
そんなこと知らないでしょうがね)。
クラフトワーク
「コンピュータ・ワールド」
1981年
さらに遡ると、ディヴィッド・ボウイの「スペース・オデッティ」のSE音としても使われていた
由緒あるものですが、残念なことに今回の「いわゆるリスト」に入ってませんでしたので、
もしこれから先、この「いわゆるビンテージ」リストが本当に更新されてゆくのであれば、
このスタイロフォンも日本国が認定した「いわゆるビンテージもの」として正式に登録され、
それによってこのPSE法が世界中の「いわゆる笑いもの」になることを期待してやみません。

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[追記] スタイロフォンは、
今でもここの
オフィシャルサイトで
販売しているようです。
価格は55ポンド(UK)です。
もちろんイルコモンズも
愛用しています。