
印刷博物館の「世界で最も美しい本
1991-2005」展をみてきました。
どれが「最も美しいか」はさておき、
この4冊の本がいいなと思いました。
Heinz Ludwig Arnold
"Arbeiterlyrik 1842-1932"
Rastor-Noton
"oacis: optics acoustics
calculated in second"
Wolfram Frommlet
"Mond und Morgenstern"
Nick J. Swart
"Nobody Forever"
Heinz Ludwig Arnold の本は、この平面写真でみると、なんてことないようですが、
左端にちょっとだけ見えてる黒い表紙の上に、もう一枚、分厚いボール紙の表紙が
とりつけてあって、それが本体よりもひとまわり大きく、ややとびだしているため、
見た目に立体感があり、実際、手にもつとオブジェのような感じがします。この
造本は工芸的というより、建築的な感じがしました。ほかにも同じような意匠の
ものがありましたが、これがいちばん完成度が高いと思いました。
そのとなりは、カールステン・ニコライや池田亮二、スキャナーといった音響系の
音楽作品をリリースしている Rastor Noton レーベルのコンセプト・ブックで、
ここのサイトをみて、音をきけば、どういう感じのものか、察しがつくと思います。
下の段の左の本は「月と明けの明星」というタイトルのこどもむけの絵本で、
表紙だけみると、それほどたいしたことないようですが、うっかりページをめくると、
谷岡ヤスジの漫画みたいに鼻血がブーーーーーーーーと出そうになります。
アシッドな色の配色は60年代のサイケがすべてやりつくしたと思ってましたが、
他にもまだこんな組み合わせがまだ残っていたのかと、思わせてくれる本です。
最後の本は、シルクを使って印刷したインディペンデント・パブリッシング色の
強いジャーマン・グラフィティの本で、いわば、大竹伸朗をポリティカルにして、
デストロイ・オール・モンスターズをポエティカルにしたような感じの本です。
見に行ったのが展示の最終日で、「さわってよい本」のコーナーに置いてある本は、
どの本もさんざん人の手にふれ、いい感じに角がとれ、背表紙や綴じもかなり
くたびれかけてたので、なんら気兼することなく、本をひらいたりとじたりすることが
できてよかったです。気がついたらほぼ4時間近く見てました。
で、こういうきれいなデザインのものをたくさん見たあとの帰り道というのは、ふだん、
あまり気にしないもののデザインまで妙に気になるもので、どこの政党のものとは
いいませんが(ロシア構成主義とすこし関係のある政党です)、ほぼ10mおきに、
壁やら塀やらに無造作に貼られた議員ポスターのデザインと、その配色の酷さが
ことさら目についた日曜の夜でした。