はじめに、ふた、ありき
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フランスに「カルティエ現代美術財団」というのがあって、ここは現代美術系の、 割とユニークな企画展をたまにやるところで、例えば最近だと、ポール・ヴィリリオが 監修した「未知なるもの」展(とそれに先駆けて行われた「速度」展)なんかがそうです。 そのカルティエ財団の大規模なコレクション展が、こないだ東京都現代美術館で 開幕したのですが、そのオープニングの席で都知事がまた人騒がせな発言をしたらしく、 フランスの新聞「リベラシオン」がそれをいち早く報じ、ネットやMLなどでもしばらく 話題になってました。 「東京都知事、現代美術を腹にすえかね」 カルチエ財団、展覧会の開会式でとんだ「とばっちり」 普通、日本の式典は、ありがたいお言葉をもって華やかに 開会を告げる。この日、開会の式辞の栄に浴したのは、炎と 燃える(そして炎を燃やしたがる)東京都知事、石原慎太郎、 73歳である。彼の隣には、カルチエ・インターナショナル会長 ベルナール・フォルナス、東京都現代美術館館長・氏家齊一郎、カルチエ財団理事 エルヴェ・シャンデスも顔をそろえている。会場のざわめきが徐々に静まる。しかし、 石原は何も事前の準備をしていなかった。マイクを手に、正面の巨大スクリーンを 見据えながら(そこには、硫黄質の雲、ボンデージ・アートの作品、暗殺された写真家 アレール・ゴメスによる裸体などが映し出されている)、石原は、いくぶん口ごもりながら、 いつもながらの歯に衣着せぬ言辞を繰り出した。「都知事は酔っぱらってるのか?」 ―彼の最初の数語に「ショックを受けた」ある日本の有名スタイリストが首をかしげる。 実のところ東京都知事は、フロアの招待客たちを前にして、いつもながらのお家芸を 披露してみせたにすぎなかったのだ。彼はすべてをぶち壊しにしてやろうと考えた。 手加減などまったく抜きにし、彼は現代美術をこき下ろし、愚かしくもそれを西洋芸術 だけの専売品のごとく描き出してみせるのだった。招待客に背を向けて話す尊大無礼、 決めつけの口調と難解を装った語彙をもって石原は、展覧会そのものをこっぴどく やっつける。たった今、案内付きで鑑賞してきたばかりの展示がよほど退屈だったの だろう。「今日ここに来て、なにかすごいものが見られるんだろうと思っていました。 ところが実際は何も見るべきものはなかった。」イヤホーンで同時通訳を聴きながら、 ベルナール・フォルナスはぐっと息をこらえる。(以下省略) *全文はこちらを ....................................................................................... 記事にもあるとおり、もちろん知事は酔ってなんかなくて、これは完全に素面での 発言です。そのむかし、NY市長のジュリアーニが「センセーション」展をこっぴどく 批判し、ブルックリン美術館の助成金をカットしたというのは有名な話で、いくら、 都知事が「東京のジュニアーニになる」と公言していたとはいえ、そんなところまで マネなくてもいいだろうにと、ついそんなことまで思ってしまうような発言です。 それに、「他国ヲ尊重シ、国際社会ノ平和ト発展ニ寄与スル態度ヲ養ウコト」とか、 「伝統、文化、芸術ヲ尊ビ、学術ノ振興ニ努メ、他国ヤ他文化ヲ理解し、新タナ 文明ノ創造ヲ希求スル」とか「教育基本法」に書いたところで「天下の都知事が これじゃねぇ、、、」と思わずにいられません。 もし都知事が平山郁夫の絵をけなしたのであれば、へぇ、、、とも思いますが、 そもそも現代美術を「わからない」とか「つまらない」と云ってけなすことくらい 簡単なことはなくて、もともと現代美術作品には、通り一遍の常識的判断や 伝統的価値観をあえて拒否し、それがつくりだす混乱や判断停止によって 主体的な思考を促すように仕組まれたものが多く、だからこそ、それをなんとか 理解し、人が思わず言葉を失くしてしまうようなわけのわからないものを、 どうにかして言語化しようとするのが、いわゆる知識人とか文学者の役割で あるはずなのに、それを放棄してしまって「いったいどこが文学者なんだろう?」 と思いました。いっそ酔っていてくれた方がまだ救いがありますし、それに どうせけなすなら、岡本太郎の「法隆寺は燃えて結構!」みたいに、ズバッと やってくれないと、斬られた方だって成仏できません。 それともうひとつ驚いたのは、こうした都知事の発言に対して現代美術サイド から反発があるかと思いきや、案外それほどでもなく、この発言を必ずしも 「擁護するものではない」にしても、それに一定の理解を示そうとする意見や クールな論評が散見され、そのものわかりのよさの方に違和感を感じました。 つい数日前、mixi で、キュレータの東谷さんが、連日、都庁に抗議の電話を かけていたという話を読むまでは、正直、ちょっと居たたまれない気分でした。 たしかに石原慎太郎をやたらに批判すると「左翼だ」とか「感情的な反発だ」とか いわれかねない風潮があります。また、一般的に「感情的反発はよくない」とも いいます。たしかに感情にまかせた反発にはみっともないものもありますが、 でも、それも相手次第で、これまで、さんざんひとの感情を逆なでするような ことをくりかえしてきた人物に対しておこなう感情的な反発はそれなりに理に かなった反発だと思うし、とりわけ、相手がある種の権力や社会的影響力を もった人物である場合はなおさらのこと、感情の力を奮い立たせて反発する べきだとも思います。たとえば、都知事の過去のこういう発言や行動に対して ひとは感情や神経を逆なでされなかったのでしょうか? 今日の東京をみると、不法入国した多くの 三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り 返している。こういう状況で大きな災害が 起きた時には大きな騒擾事件が想定される (石原慎太郎) *写真は「ビッグレスキュー東京二〇〇〇」 ということで、まだしばらく会期があるので、時間ができたら、この展覧会も 見に行こうと思います。 ------------------------------------------------------------------ [追記] おそらく、この件とは関係ないと思いますが、これまでまるまる 7年間のあいだ、新規の収蔵作品購入費がゼロだった東京現代美術館に、 ようやく今年、予算がついたそうです。
by illcommonz
| 2006-05-13 06:21
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