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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼頭脳警察がやってくる!
d0017381_19473926.jpg近ごろ世間では脳の働きや仕組みに関するものが流行してるようで、
「脳の生理」や科学に関心が集まってるようですが、その反面、
「脳の政治」についてはさほど関心がもたれてないように思います。
というのも、もし、このまま「共謀罪」が成立してしまったら、いずれ
あの頭脳警察(Brain Police)がやってきて、僕らの脳みそが
勝手に/自由に行う、ばかげた思いつきや気ままな想像、実行を
前提としない非現実的なソーシャル・プランニングや、現実に
とらわれない未来のポリティカル・シュミレーション、そして、
そのための共同の思考実験や思索の試みといった、いわゆる
僕らの精神活動そのものを刑罰や処罰の対象にし、それにプレッシャーとマインド・
コントロールを課してくることになるわけで、脳のメカニズムよりもむしろ、この脳の
ポリティクスの方が、イルコモンズはずっと気になります。

かねてより、今日の国会(5月19日)で「共謀罪」の強行採決が行われるかもしれない、
といわれてましたが、いまヘタに強行採決をすると、当座の国会運営に支障をきたす、と
ふんだらしく、採決は来週に持ち越されたようです。「どうせ、いつでも採決できるのだから、
ヒヒヒ」という多数派のオトナたちの計算がはたらいたのでしょう。ところで、この「共謀罪」を
かつての「治安維持法」になぞらえて、詳細に比較検証してみせてくれる人たちもいますが、
(たぶん法学部を出た方なのでしょう)、かたや、そういう法に関するリテラシーをもたない
ドシロウトのイルコモンズが、「共謀罪」のことを考える時、いつも脳みそに浮かんでくるのは、
フランク・ザッパの「頭脳警察は誰だ?」という曲で、それはこんな演奏とこんな歌詞の
うたです。

d0017381_1959825.jpgFrank Zappa& The Mothers of Invention
"Who Are The Brain Police?" (1966)

Aahh ah ahahahaaa, aahh ah ahahahaaa!!!
What will you do if we let you go home,
And the plastic's all melted, And so is
the chrome? Who are the Brain Police?


Aahh ah ahahahaaa, aahh ah ahahahaaa!!!
What will you do when the label comes off,
And the plastic's all melted, And the
chrome is too soft?

Aaahhh! Think I'm very tired
and I'm going to die
I think I'm going to die,
I think I'm going to die
I think I'm gonna die....
Going to die!
Who Are The Brain Police?

Aahh ah ahahahaaa, aahh ah ahahahaaa!!!
What will you do if the people you knew,
Were the plastic that melted,
And the chromium too?
Who Are The Brain Police?


ある日、ザッパは、朝の五時ごろ、自分の頭のなかで誰かがずっとこの歌を
歌ってるのに気がつき、その奇妙な感覚につき動かされて、この曲を書いたらしく、
まさかそれを自分が演奏し、歌うことになるとは思ってもみなかったそうです。
なので、上の歌詞の意味は、当のザッパ自身にもよくわからないようですが、
後にあるインタヴューでザッパはこんなふうに話してます。

「多くの人びとが自分の脳のなかに警察をもってるんだ。いってみれば、民営化された
兵隊みたいなものさ。僕はこれまでにも、自分からすすんで自分を捕まえ、自分で
自分の脳を罰しようとする人たちを大勢見てきた。それは本当に悲しいことだ。それは、
脳を取り締まる自警団だよ。そしてそれは公的な力によるものではなく、自分で自分の
首をしめるようなもんさ。だから、多くの人びとがそうしてることにたとえ気づいたとしても、
いったいなにが中心になって、そうさせているのかをつきとめるのが難しいんだ。
そして僕が云いたいのは、いま多くの人たちが民間の頭脳警察になりたがっている
ということで、その数は日増しにどんどん増えてきている。そういう人たちは「こんな
ことは考えるべきじゃない」と自分にそう言いきかせ、その考えをふりはらうために
自分をぴしゃりと嗜めるんだ。だから、いくら脳の警察署に苦情をいったってムダさ。
自分からすすんで自分を去勢しようとする人たちにうんざりさせられるのがオチだよ」

"A lot of people police their own brains. They're like citizen soldiers, so to speak. I've seen people who will willingly arrest, try and punish their own brains. Now that's really sad. That's vigilante brain policism. It's not even official, it's like self-imposed. It's hard to pin it down to one central agency when you realize that so many people are willing to do it to themselves. I mean, the people who want to become amateur brain police, their numbers grow every day - people who say to themselves, "I couldn't possibly consider that", and then spank themselves for even getting that far. So, you don't even need to blame it on a central brain police agency. You've got plenty of people who willingly subject themselves to this self-mutilation."

d0017381_20432285.jpgいかにもザッパらしい、皮肉と挑発に満ちたこの話からも
わかるように、頭脳警察というのは、あの制服を着た国家
公務員のことではなく、自分で自分の考えることを自分で
取り締まるようになることであって、「共謀罪」というのは、
自分の脳みそのなかに見えない警察をつくらせる装置な
わけです。

そのむかし、刑務所の囚人たちを効率的に管理する
装置としてパノプティコン(一望監視装置)というしかけが
ありました。これは囚人たちに、なにをしてもすべては、
監視されているという強迫観念を植えつけることで、
囚人たちの行動を囚人たち自らで自己規制/規律化
させるというものです。これは功利主義者のジェレミー・
ベンサムが、最も安上がりで最も効率のよい監獄の
メカニズムとして発明したカラクリです。これは人を、
目に見える行動や身体動作のレヴェルでコントロール
しようとするものですが、これに対して共謀罪は、
目に見えない思考や想像のレヴェルで人をコントロールし、目に見えない監獄に
とじこめるようなものです。

d0017381_20454565.jpg
さて、こういう法律ができたとき、
Aahh ah ahahahaaa!と悲鳴をあげて死んで
ゆくのは何でしょうか?思考の自由です。そして、
思考の自由を奪われた人間のことをなんと呼ぶ
でしょうか?ゾンビーです。自由な思考と想像の
はばたきを檻の中にとじこめる共謀罪は、思考と
精神のパノプティコンであり、僕らをゾンビーにする
頭脳警察はもうそこまで近づいてきているように
思います。

.......と、こういうことばかり書いてると
「イルコモンズは狼少年だ」と、いわれるかもしれませんが、
それでもやっぱり書いておきます。

頭脳警察が来るぞ!頭脳警察が来るぞ、来るぞ、来るぞ、来るぞ、来るぞ、来るぞ、
頭脳警察は、誰だ?頭脳警察は、僕らだ。

そして僕らを頭脳警察にするかもしれない、法律の審議がいま国会で行われています。
生-政治(バイオ・ポリティクス)に続いて、いま、脳-政治(ブレーン・ポリティスクス)が
はじまろうとしている。これって気になりませんか?

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d0017381_21362782.jpg[追記1] 「共謀罪」を考える時もうひとつ思い出すのは、
「アワーミュージック」です。あの映画のおしまいの方に、
「イスラエルの人が平和のために一緒に死んでくれたら
うれしい」と口にしたオルガがイスラエル兵に射殺される
というドラマがありました。そのオルガは爆弾はおろか、
銃すら持たず、持っていたのは本だけでした。
「疑わしきは罰せよ」という「共謀罪」は、この銃弾を連想させます。いや、より正確に
いえば、「イスラエルの人が平和のために一緒に死んでくれたらうれしい」という
オルガの空想に、ひとが相槌をうったら、ふたりまとめて射殺する、というのが
「共謀罪」のような気がします。
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[追記2]
たとえば、こういう詩的な対話がなされたとき、共謀罪は適用されるのでしょうか?
[Aさん] 共謀罪の成立に加担せしものども、やがて、ひとりのこらず、
      かなしき目にあひぬるは、いかおかし。
[Bさん] 然り
ともあれ、もし「共謀罪」が成立したら、詩と呪文とブードゥーが復活するはず。
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by illcommonz | 2006-05-20 20:49
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