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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼異文化誤解がつくりだされ利用されるとき…
(イルコモンズの「文化人類学解放講座」より)

d0016471_10374957.jpg

「異文化誤解の映画史」の最後は、第二次世界大戦中にアメリカで制作された
戦意高揚のプロパガンダ映画やポスターに描かれた日本(人)の表象をまとめて
マルチ・スクリーニングしてみることします。

d0016471_93633.gifd0016471_8285340.gif
・米国戦事局映画部 「我らが敵、ニッポン人」(1943年) 
・フランク・キャプラ監督 「なぜ我々は戦うのか:戦争への序曲」(1943年)
・ジョン・フォード監督 「12月7日」(1943年)
・米国財務省 「わたしのにっぽん」(1945年)

これらの映画は、アメリカ政府が、その当時、敵国であった日本とはいったいどういう
国であり、日本人はどういうものの考え方をし、どういう暮しをし、どういう社会組織と
価値観と美意識と倫理と道徳と政治と信仰をもっているかを、ちょうど文化人類学者
がある文化の民族誌を書くときのように、日本の「文化」全体を網羅的に描いてみせ、
それをアメリカ国民たちに教え、そして、なぜ戦争をする必要があるのかを説くために
制作した戦意高揚の国策映画、すなわち国家がつくった(あるいは高名な映画監督
に制作を依頼した)プロパガンダ映画であります。このドキュメント仕立ての表象には、
正しいところもあれば間違っているところもあり、正直、見ていてあまり気分のよいもの
ではありませんが、私たちがあまり目をむけようとしない日本の文化のある側面や
歴史をみせてくれるものですので、いずれも部分的ですが、この機会にぜひ見てみて
下さい。そしてもし、ここに描かれている日本人や日本社会の姿に違和感や嫌悪感を
感じた人は、自分たちがそういう醜い日本人に二度とならないように、また他国の人々
から憎まれたりすることがないように、それぞれ気をつけてください。

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最後に、これまで講義で見てきた様々な「異文化(としての日本の)誤解の映画史」の
サンプルをもとに、記号学者のA・グレマスが考案した「意味の(正)四角形」を変形した
d0016471_9423622.jpg「意味と権力の変則四角形」(試作)を使って、
「異文化理解」「異文化無理解」「異文化
曲解」そして「異文化の創造的誤解」に
分類し、そこから分かること(例:文化を
表象するということの難しさとおもしろさ、
文化それ自体が持つあやうさと紛らわしさ
誤解が持つ批評性や創造性、言語化
できない文化のニュアンスやてざわり、
そして戦争が異文化の理解にもたらす
不幸など)を考えてみたいと思います。


d0016471_8533844.jpgさらにもし時間があれば、記号学者ダン・
スペルベルの「表象は感染する」という本と、
文芸批評家ホミ・バーバの「文化の場所」
という本を紹介し、文化の表象というものは、
ウィルスのように「感染」し、疫病のように
「流行」するということ (ただし表象には、
感染力の強いものと弱いものがあります)、
同じく文化の表象は、幽霊や妖怪のように
そのすがたや居場所を変え、思わぬ時代
や場所に「不気味なもの」としてまいもどってきて突然、息を吹き返したり、リバイバル
することがあるということなどをお話しします。スペルベルの研究は、文化人類学を
文化表象の自然科学/実証科学にすることを企てた野心的な試みで、ざっくばらんに
云ってしまえば、生成言語学や認知心理学、コンピュータ・サイエンスなんかが好きな
理数系の人向きの本です。かたやバーバの本は、文化表象の文学的批評として
書かれたもので、文学・芸術・歴史・現代思想なんかが好きな人文系の人向きです。
そして、どちらの本もその分野では先鋭的なものなので、読んでもすぐにはピンと
こないかもしれませんが、おおざっぱに云ってしまえば、どちらも、文化というものを
いつも同じ場所にあって、ずっと同じ姿で、じっとしているものとは考えておらず、
文化というのは常に居場所を変え、姿を変えてゆくもの、たとえて云うならば、
「旅するもの」として捉えているようで、ひとまずその点だけでも、おさえておいて
もらえたらそれで十分です。
[PR]
by illcommonz | 2006-06-08 10:34
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