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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼いまここで何をすべきかを意識よりも先に神経が判断し身体を動かす
d0017381_724865.jpg
UFOの矢部(直)さんをゲストにむかえた、東京経済大学の粉川(哲夫)さんの講義
「身体表現ワークショップ2006」にいってきました。場所は大学の地下にあるスタジオで、
ここには見あげるくらい大きな高性能のPAシステムがあって、相当な爆音を出してもOKな
つくりになってます。講義は何のアナウンスもMCもなく、薮から棒にフリストファー・ボーの
「恋に落ちる確率」というデンマーク映画がスクリーニングされ、それをキューに、矢部氏の
DJプレイがスタートしました。「恋に落ちる確率」というのは、こういうあらすじの映画で、
原題の「Reconstruction」という点で、かろうじてDJとつながるものの、それ以外では、
ほとんど何のつながりもない、ラブ&サスペンスな愛の不条理劇です。矢部さんは、
映像と音楽をシンクロさせようというつもりは毛頭ないようで、映像を無視したまま、
黙々とミックスアップを続けていくのですが、それでも時々ハッとするような瞬間があって、
非常におもしろかったです。通常、映像と音が同時に情報として与えられると、ヒトの
意識は視覚情報の方に向かいがちなのですが、ほぼ全編にわたって、音が映像から
イニシアティヴを奪いとってる感じがして、その攻防はスリリングでした。そして講義は、
そのまま150分間フルタイム&ノンストップのプレイが続き、そのままノンコメント(!)で、
講義が終わる、という異様な講義でした。映画の紹介もなければ、DJの紹介すら、
ろくになかった気がします。たぶん多くの受講者が、呆気にとられて帰った、というか、
呆気にとられたまま帰す、ことをねらって、仕組まれた講義だったように思います。

d0017381_6401419.jpg
最近では、大学の講義にDJをよんで、DJプレイやターンテーブル・パフォーマンスを
みせるということは(特に美術系の大学では)、おそらくそれほどめずらしいことでなく、
それならば「教室がクラブになる」あるいは「教室にクラブがやってくる」という逆-社会科
見学にすぎないのですが、今回の講義で、何がいちばんおもしろかったかといえば、
150分間フルタイム&ノンストップのDJプレイのあいだ、受講者たちは教室の床に
座りこんで、じっとしたまま、それをだまって聞いているという、その状況が異様で、
(講義の後半では映画をやめ、ハンディカメラで、フロアにすわりこんでいる受講者
たちの映像がリアルタイムでスクリーンに映し出された)、アシッド・ジャズを中心にした、
この日の矢部氏のプレイは、後で本人も「途中からいつもよりハマってやった」という
くらいテンションの高いもので、実際プレイが終わると、「とにかく、休ませて」と、その
ままバックヤードに消えてゆくほど緊張感のあるプレイだっただけに、誰ひとりそこで
踊ってないことが、なおさら異様に思えて、「ここはいったいどこだろう」という、まさに
「教室が教室でなくなり」なおかつ「どこでもなくなる」という体験をすることができました。
(こういうアヴァンギャルドな講義を毎週受けられる東経大の学生はいいなぁ)

また後半では、フロアの様子だけでなく、DJブース内での矢部氏のプレイの様子も
リアルタイムでスクリーンに映しだされ、トリマーのレヴェルを目視するために、時折、
ライターの火でミキシングボードがボッと照らし出されるとき以外は、ほぼ暗闇に近い
状態で、あとは明滅をくりかえすLEDメータの光だけをたよりに、次から次にCDを
セレクトし、モニタリングし、ミックスアップしてゆく、機敏でまったく無駄のない動作は、
ナイトショット・モードの粒子の粗い映像で見たせいもあって、なんだか夜行性動物の
知られざる生態を観察しているみたいでした。

圧巻だったのは、ノンストップ・プレイの途中に、講義の開始と終了を告げる大学の
まぬけなチャイムが鳴ったときで、後できいたら、本人は「そんなチャイムが鳴ってた
なんてまったく気がつかなかった」と云われてましたが、それもそのはず、それは、
意識が別のレヴェルにいってたからで、実のところ、そのチャイムが鳴りはじめた
瞬間、おそらく誰よりも先に、矢部氏の音楽神経は俊敏にその音を察知し、それを
チャイムとしてではなく、いま、この瞬間に、ここで鳴ってる音としてとらえ、突然、
進入してきたその異質な音を現在進行中のフローの中に巧みにモジュール・イン
させ、リミックスし、プレイのなかで再構築させていました。それは神ワザというよりも、
人間の原初的な動物的本能(環境の異変を直感的に察知し、瞬間的かつ反射的に
応戦態勢にはいるそれ)だと思いました。いいかえれば、頭よりも先に、耳や目が
いまこの瞬間にここでやるべきことを的確に判断し、身体にダイレクトに指令を送る
という、まさに身体パフォーマンスの神髄を目撃した気がしました。

d0017381_6592844.jpgところで、今回の講義が、今学期最後の
講義だと思ってましたが、実は来週が
最後で、来週は、サンバチームがこの
講義にやってきて「何か」をするそうです。
そこで「何を」するかは「神のみぞ知る」
ではなく、これもまた、いま・ここで何を
すべきかを、その場で的確に判断する
サンバチームの音楽神経とパフォーマ
ンス魂のみぞ知る、です。その最後の
講義では、外部からの参加も、大いに
歓迎するとのことですので、7月14日の
午後は、ぜひ、東京経済大学へ。

ちなみにその日は、同じ大学の敷地内で、まじめな講演会のようなものが開かれる
そうですから。まじめな講演会と解放的なサンバチームがバッティングすれば、
そこで音の攻防が起きるのは、事の必定。そこでは「何が」起きてもおかしくないし、
かならずや「何か」が起きるべくして起きるだろうけど、「何が」起きるかは、その時・
その場になってみなければわからないことので、いまはとにかく、当日の天気が
よいことだけを、神に祈るばかりです(こればっかりは神に祈るしかないですから)。
もちろん僕もみにゆきます。
[PR]
by illcommonz | 2006-07-10 07:05
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