はじめに、ふた、ありき
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以前、このブログで
予告したこの原稿の 〆切日だったので、 昨晩、書いて、今朝、 編集者に渡しました。 展覧会はもうとっくに 終わってるし、いまは レバノン戦争の動向と その終結にむけての 対話と理解が重要で、 無用な争いはもううん ざりなので、そういう 姿勢で書きました。 掲載紙は「図書新聞」、発売日は今週の土曜日です。この書評紙は、販売価格 (たしか240円)のある商業出版物で、いま、ここに全文を載せるのは、渡世の 仁義に反するので、ここでは、発売前の「予告篇」として本文の一部のみを抜粋し、 著者に無断で掲載します。次の号が出て、店頭から消えたら、全文を載せます。 --------------------------------------------------------------------------- 東京都現代美術館「カルティエ現代美術財団コレクション展」 「ぶたに真珠、都知事にカルチェ~レバノン戦争に面して」 (文=イルコモンズ) ●レバノンで戦争がはじまったね。イスラエル機甲師団が南レバノンの国境線を越えて レバノン侵攻を開始したそうだ。ベイルート郊外への本格的空爆もはじまったらしい。 ■南レバノンの国境地帯というと、映画「ラミアと白い凧」の舞台になった土地で、 ベイルートの郊外にはアルマン・フェルナンデスが、がらくたになった戦車をつみあげて つくった「平和への希望」という巨大なモニュメントがあるんだけど、そこがまた戦場に なってしまうわけだね。 ●本来なら今回は、東京都現代美術館の「カルティエ現代美術財団コレクション」展に ついて、同展のオープニングセレモニーで、同展を「がらくたばっかりで、見るべきものが ない」とけなした石原慎太郎東京都知事(以下都知事)に対して異議申し立てをするつもり だったけど、すっかりその気も失せてしまったね。 ■それは同感だけど、でも、こういう時こそ、戦場から遠く離れたところにいる僕らにできる ことは、自分のなかにレバノンをつくることで、そこで云うべきことをきっちり云っておくこと じゃないか。 ●それだったら「ぶたに真珠、都知事にカルチェ」というタイトルで十分だよ。つまり、あの コレクションに見るべきものがないのではなく、都知事に見る目がないだけの話で、現に 僕が見に行った時は行列ができるほどの盛況ぶりだったし、僕の目にはどれもこれも 面白くてたまらかった。 ■まぁね、これまで、銀座の街に装甲車を走らせたり、あれやこれやの差別的発言で、 さんざん人の感情を逆なでしてきた都知事だから、君がそういう感情的反発をしたくなる 気持ちも分かるけど、でも、どうだろう、レバノンで戦争がはじまってしまったいま、僕らに 求められているのは、美意識や価値観を共有しない他者に対する想像力と、立場の ちがいを超えた理解の試みで、おそらくいつも以上にそれが求められているように 思うんだ。そこで今回は、都知事の挑発にのらずに、どうせわかりあえないことは、 端から承知の上で、オッペンハイムのあの気の遠くなるような長い長いテーブル(図参照) についたつもりになって、具体的に、どの作品のどこが、都知事の気に喰わなかったのか を考えてみるのはどうかと思うんだ。(中略) 【飛ばない飛行機と使えない監視艇】 ■特に、パナマレンコなんて、 こう云ってるくらいだからね。 「これが機能すれば奇跡だが、 機能しなければ、より完璧だ」 ●ははは、それは傑作だね。 ■そこが、都知事の癪のタネなのさ。(中略) 【サラ・ジー「立ちあがるものは必ず萎縮する」】 ■何かあるたびに「ひるむな、たちあがれ」という都知事は、さぞやカチンときただろうね。 ●そう考えると、だんだん都知事が気の毒になってきたよ。(中略) 【太陽の季節とボクシング】 ■あれも「男らしさ」や「勇敢さ」や「勝利」を美徳と考える都知事には、 「見たくもないもの」だっただろうね。 ●いやはや、まったく気の毒だ。なんだか、だんだん 都知事の内心が理解できてきた気がする。(中略) 【マイノリティーのブルース】 ■そういう作品に都知事は「みるべきものがない」と感じるのだろうか。 ●もしそうなら、その鈍感さは、気の毒な気がしてくるね。「太陽族」の 生みの父とはとても思えないな。 (中略) 【「俺はきみのために死に行く」を見に行くか】 ●僕は、戦争好きの男たちと国家は大嫌いだけど、女と子供たちは好きだからね。 それにいまは、レバノンで「いま、起きてること」の方が気がかりで、現代美術は、 これにどうNOをつきつけるのか、元・現代美術家としてはそのことの方が気になる。 (以上) [文中で言及した作品] ○デニス・オッペンハイム「テーブル・ピース」 ○アルマンフェル・ナンデス「ホープ・フォー・ピース」 ○マーク・ニューソン「ケルヴィン40」 ○パナマレンコ「パナマ、ノヴァ・ゼンブラヤ」 ○ジェームス・コールマン「ボクス」 ○サラ・ジー「たちあがるものは必ず萎縮する」 ○ナン・ゴールディン「性的依存症のバラッド」 ○クラウディア・アンデュジャール「アイデンティティ」 ○アルタヴァスト・ペレシャン「我々の世紀」 ○石原慎太郎「太陽の季節」 ○石原慎太郎「俺は君のために死にに行く」 -------------------------------------------------------------------------------- この原稿ではとりあげられませんでしたが、このほかに同展では、ウィリアム・ ケントリッジのアニメーション作品「ステレオスコープ」と、アドリアナ・バレジョン のインスタレーション作品「ラパの麗人」がよかったです。ケントリッジの作品は、 最後にものすごい量の青い涙が目から流れおちるシーンが泣けました。バレ ジョンの作品は、国立近代美術館の「ブラジル・ノスタルジア」展でみたものより スケールが大きく、ブラジルの歴史の裂け目に圧倒されました。結論として、 いいコレクションだと思います。都知事のように「解説がないと分からないような 作品はきらいだ」なんてことを堂々と人前で云えるのは、はっきりいって、テレビの 見すぎです。スペクタクル社会依存症です。自分の頭を使いましょう>都知事 (都民より)
by illcommonz
| 2006-07-25 13:16
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