![]() はじめに、ふた、ありき
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(つづき)
そして、いよいよここからが本題なのですが、実はこのシンポジウムで あえて話さなかったことがひとつあります。考えはかたまっていたので、 別に話してもよかったのですが、実は、ある出版社から、建築批評家の 五十嵐(太郎)さんと共同監修で万博の本をつくりませんかという話を もらってたので、その本の柱(はしら)にするためにとっておいたので すが、その後、その出版社からぱったり連絡が途絶え、出版計画が流れ てしまったので、この機会に忘れないように書いておきます。 ![]() 『現代思想』03年3月号青土社 (→WEB版) 「さよなら万博」 『10+1』36号/2004年夏号 INAX出版 「空間空転空歩不自然下調合不配合グラグラ バラバラのわるい戦記が書かれ、今日また 新たな万博が開幕する」 『文擧界』2005年5月号 上記のように、万博については、これまでいろんなところで、いろんなこと を書いてきました。論調は、おおむね批判的ですが、これほど何度も、 万博について書くのはやはり「大阪万博に行きたかったのに連れて行って もらえなかった」という無念の思いと、国家や資本が先導してやる祭典 (オリンピックも含む)は嫌いだけど、万国博がみせてくれる変なものや おかしなもの(太陽の塔、電子音楽、現代建築、メディアアート)は好き というアンヴヴァレントな感情があったからだと思います。それでもなお 万博に対して批判的にならざる得ない理由は、江藤淳が見抜いていた通り、 万博が僕らを「消費の奴隷」や「スペクタクル中毒者」に"家畜化"する 場だと思うからです。1970年に江藤淳はこう書いてます。 万博とは巨大な遊園地であるが、同時に人間動物園であることを私は 悟らざるを得なかった。見物人はもちろん放し飼いの動物である。 各国のパヴィリオンはいうまでもなく檻であり、そこに行くと、 いろいろ毛色の変ったのが実地に見物できる。人をもってこれを みたせば、千里丘陵は巨大な国民教育の場とならざるを得ない。 政府のねらいはここにあったのかも知れない。いながらにして 五千万人に一種の国際的経験を味わせ、資本の自由化の予行演習を させること。 ほかにも万博には「カモフラージュ」の装置としての機能もあり、 特に昭和45年の大阪万博は、その同じ年に自動延長/更新された 「日米安保条約」の問題から国民の関心をそらさせ、思考停止に させるスペクタクル爆弾としての側面もありました。これについては、 赤瀬川(原平)さんが『美術手帖』にこんな作品を残しています。 ![]() 赤瀬川原平 「万国博跡地利用の提案」 1970年 万博撤去の跡地に万博を建造する 万博撤去の跡地に万博を建造する 万博撤去の跡地に万博を建造する 以上、安保改定のたびに行う。 あともうひとつは「野生の近代」のシンポジウムでもふれてたように、 万博が、一皮むけば、戦争にも匹敵するようなスクラップ・アンド・ ビルド・ダウンの国家的デモンストレーション(演習)であり、とりわけ、 「敗戦国」にとっては国威を示す「戦争の代用品」であるということが あります。『戦争論』を書いたクラウゼビッツの「戦争は別の手段を もってする政治の継続である」をもじって云えば「万博は別の手段を もってする戦争の継続である」と思うわけです。実際のところ、巨額の 国家予算を投じて、「国家総動員体制」で行われる万博には、戦争の 影や亡霊のようなものがさまよっているのが感じられ、それに嫌悪感 や警戒感をおぼえるわけです。いいかえれば、戦争を放棄した国が いまだに戦争への未練や野望を断ち切れずに、その戦争の代用品 として万博をやってるような感じがしてイヤなわけです。ところが、 ここにきて、その戦争を放棄したはずの国が「戦争の代用品」では ついに飽き足らなくなったらしく、「代用品」ではない「本当の戦争」が できる国」にしようと画策しています。有事法制を整備し、イラクの 戦場に自衛隊を派遣し、次は「敵基地攻撃だ」(←ばか!)なんて 云いはじめてます。そんなの、とんでもない話で、そんなことになる くらいなら、戦争の代用品としての万博をやってくれてた方がずっと ましだと考え、それで五十嵐さんと相談して、「戦争よりも万博を!」 というのをコンセプトにした万博の本をつくろうとしてたのですが、 残念ながらその企画はつぶれてしまいました。企画こそつぶれまし たが、いまでもその考えは変わってませんし、ここにきてますます、 その思いが強くなってきています。本当に「戦争よりも万博を!」と 思います。冗談ぬきで、戦争ができる国になられたりしては困るので、 「安保改定のたび」ではなく、これから毎年、万博を日本で開催し、 その費用は防衛費を大幅にカットしてそこから捻出するというのは どうかと思います。環境に配慮した、こないだの愛知博なんかより ずっと巨大で、あからさまなくらい、破壊的なスケールの「ザ・万博」を 毎年やる。岡本太郎がいうような「ベラボーな祭」を毎年やる。 ![]() 「蕩尽」を毎年やる。当然、入場料は無料で、 交通費も全額すべて国家が負担する。祭のときは なにかと治安が乱れるので自衛隊が国民を家から 会場まで安全に護衛する。もちろん海外からの 観光客たちも自衛隊専用旅客機で日本まで安全に 護送する。そうやって自衛隊を24時間365日使う。 それでもまだ戦争をする余力がある場合は、4年に1度の オリンピックを毎年、日本で開催する。夏も冬も開催する。 なんなら春も秋もやってもいい(*ただし石原慎太郎が 都知事のあいだは東京ではやらない、どうせまた開会式で ろくでもないことを云うにきまってるから)。IOCが何と云おうが、 単独行動主義で、「毎年オリンピック」を日本で独自開催する。 そこでは「ピロー・ファイト」をオリンピックの公式種目として認定し、 イスラエル、パレスチナ、アフガン、イラク、そしてUSの選手に 好きなだけ「まくら」で殴り合ってもらう。もともとオリンピック だって戦争の代用品なのだから、こっそりやらずに堂々とやる。 もちろん、リアルファイトにならないように自衛隊が競技の安全を 確保する・・・ ![]() 描きなおしてみせる寓話的な万博の本があったら おもしろいだろうな、と思うのですが、どうでしょうね。 本のタイトルは「さよなら万博」ではなく、「さよなら戦争、 こんにちは万博」という感じでしょうかね。ともあれ、 イラクに派遣されてた自衛隊も帰ってきたことだし、 いっそのこと憲法を改正して、毎年、万博をやる国 にしては、どうかと思うのですが。
by illcommonz
| 2006-07-26 12:12
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