来週の木曜からはじまる
国立民族学博物館での
一般公開を前に、表記の映画の最後の編集作業を
やってます。約1万7千点の民族誌的記録写真の
なかから、約300枚ほどのスチル写真を選びだし、
それにサウンドトラックをつけた16篇からなる五部
構成の映画です。写真が撮られた一九三〇年代、
まだ映画が「活動写真=モーションピクチャー」と
呼ばれてたことに因んで、静止したスチル写真を
活動的に動かして見せる、プライマルな方法で
つくった実験的民族誌映画です。特殊効果は、
同じ頃、エイゼンシュタインやヴィゴたちが使っていたモンタージュ以外は何も使ってない、
40分間のスロームービーです。コロニアリズムの時代に、人一倍、ロマン主義的な趣向と
モダニズム的感性をもっていた言語学者(兼僧侶)の眼が、カメラという媒体ごしに本当に
みていたものを、よりロマンチックに、よりモダニズム的にリミックスし、それをとことんまで
こじらせてみることで、コロニアル・ロマンティシズム/批判の彼岸まで、迷わず成仏させよ
うとしてつくってみた地味なアヴァンギャルド映画です。使用した楽曲は、シューベルト、
グリーク、シューマン、ラヴェルで、中でもとびきりロマンチックなピアノ曲を故意に選んで
サウンドトラックにしているので、通常そうした楽曲を挿入することがタブー視されてる
民族誌的ドキュメント映画の常識に慣れた目や耳からすれば、問題視せざるを得ない
ところがなきにしもあらずで、場合によっては公開が途中で打ち切りになったり、サウンド
トラックが消えたりする可能性もなくはないので、関西方面にお住まいの方は、ぜひ、
お早めにご来場ください。特に毎週土曜日は、小・中・高校生は入場無料なので、ぜひ、
土曜日に。
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[追記] 文化人類学者になりそこねたイルコモンズのうちのひとりがこの映画の監督を
してます。はじめてにしてはなかなかよくできてます。もしかすると、もともと文化人類学
よりも映像人類学むきだったのかもしれません。どうも進路をまちがえていたようです。