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![]() 試写会の招待券をもらったので、仕事がおわったら、中野でこの映画をみてきます。 大浦信行監督「9,11-8.15 日本心中」一般公開試写 9月29日(金)19時~ 東京・中野区中野ゼロホール この作品の劇中映像が週替わりでYouTubeにアップされてます。 今週の公開映像はこれです。 ↓ 「椹木野衣 対話 日本心中」(on You Tube) .............................................................................................................. [追記1] ということで、みてきました。上映の後、監督の大浦(信行)さんから、 パンフレットに載せる文章を書いてくれと頼まれましたので、記憶が薄れない うちに書きました。パンフレットに掲載される時はもうすこし短くなると思います。 [追記2]「できれば600字以内で」というリクエストがあったので、後半をカット しました。 「76歳のスローなロードムービー」(文=イルコモンズ) 若松孝二の映画「17歳の風景」は少年が自転車で北へ北へと旅をするロード ムービーである。東北の小さな駅で少年は、ある老人と出会い、老人が語る 戦争体験に耳を傾ける。この老人が、この映画の主人公・針生一郎であり、 本作は「17歳の風景」で少年と別れたところからはじまる、76歳の老批評家の もうひとつのロードムービーとして観ることができる。しかし1945年8月15日の 敗戦の日を原点とするこのロードムービーには疾走感というものがまるでない。 それどころかロードムービーでありながら移動のプロセスをほとんど感じさせない、 おそろしくスローなロードムービーである。しかも、何度もくりかえし原点に立ちも どってゆくループ状のロードムービーである。はたしてこれは堂々巡りの悪循環 だろうか?そうではない。これは常に原点に立ちもどってゆくことこそが自らの ライフワークであると思い定めた男の旅のドキュメントである。なので1945年の グラウンドゼロの体験を共有しない世代には共感するのが難しいかもしれないが、 それでよいのだ。監督の大浦も針生も共感などはじめから求めていないはずだ。 人にはそれぞれその生まれた時代や土地に固有の異なるロードがあり、ルートも 違えばスピードもまるで違う。大切なのはその違いをそれぞれが互いに了解し合う ことであり、そうした他者のロードとの出会いに敏感であろうとすることである。 この映画が求めているのは、それぞれが自分の原点を思い定め、そこから出発 することである。それはなにも9.11である必要はない。「テロとの戦争」が宣言された 9.15であってもよいし、日付けなどなくてもよい。本作にはそうした神話的な日付を もたない少女が登場する。8.15と9.11を自らの原点としてすでに選びとってしまった 賢人たちはむしろ、その少女とともに観客がこの8.15と9.11の神話をリセットし、 別のロードを歩みだすことを求めているのではないか。多くのすぐれたドキュメントが そうであるように、この映画もまた映画を見終えた後に何をするかが大事であるような、 そういう映画である。 -------------------------------------------------------------------------------- [追記3] やはりスペースの都合で、短くなりました。400字のパンフレット版は、 次のとおりで、もうすこし長いものは、公式サイトのココに掲載されています。 ということで、このブログのが一番長いヴァージョンです。 1945年8月15日を原点とする針生の旅は、すこぶる鈍重で、疾走感という ものがない。しかもロードムービーでありながら、移動のプロセスを感じさせ ないスローなロードムービーであり、緩やかな螺旋を描きながら再び原点に 回帰してゆくループするロードムービーとなっている。はたしてこれは悪循環 的な堂々巡りだろうか?そうではない。これは常に原点に立ち戻ることを自ら のライフワークとして選びとった男の記録である。人にはそれぞれ生まれた 時代や土地に固有の異なるロードがあり、ルートも違えばスピードも違う。 大切なのはその違いを互いに承認し合うことであり、そうした他者のロードとの 出会いに敏感であろうとすることだ。この映画が求めているのは、映画を観終 わった後、それぞれが自分の原点を思い定め、そこから自分のロードに出発 してゆくことではないだろうか。(小田マサノリ 元現代美術家・民族誌家)
by illcommonz
| 2006-09-29 14:27
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