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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼さわってみてごらん、アナーキーだよ
▼さわってみてごらん、アナーキーだよ_d0017381_20551686.jpg
さっき、以文社さんから、もうじき本屋にならぶ、
グレーバーの本の見本が届きました(これが
今回のシンポジウムの報酬、現物支給です)。

デヴィッド・グレーバー
「アナーキスト人類学のための断章」
[訳] 高祖岩三郎 [装丁] 前田晃信
以文社 ¥2,200

写真ではわからないと思いますが、とてもよい装丁です。
元・イルドーザーの前田(晃信)くんの仕事で、現物を、
直接、手にとってみると、それがわかります。というより、
「直接、手にとる」というダイレクト・アクション(直接行動)をおこさないと、分からない、
そういうつくりになっていて、ダイレクト・アクションの重要性を説いた本に相応しい、
装丁になってます。カヴァー写真は、翻訳者兼デザイナーの高祖さん自らがこれまた、
デモの現場で撮ったもので、「写真の粒子の粗さは、その政治性に比例する」という
原則にしたがってフォトレタッチしてあり、その粒子の粗さと表紙の紙質が見事に
フィットしてます。それもさることながら、驚いたのは、帯の紙質で、鹿の子編みを
もっと細かくしたような紙でヤスリを思わせる紙です。これはかつて、紙やすりを
本の表紙にした(そうすると、となりに置いた本が擦れて痛み、本を持つ手も痛む)
ドゥボールの逸話が下敷きになっているのだと思います。このドゥボールの紙やすりの
カバーの話は割と有名な話なので、ブックデザイナーはみんなやりたがるのですが、
流通その他の「大人の事情」で、やりたくてもなかなかやれないものだったので、
「マエキン、よくやった、いいぞ、もっとやれ!」と感激しました。ほかにも、裏表紙の
商品バーコードのまわりは、読み取りエラーを避けるために(でも本当はそんなに
エラーは起こらないのに、大手の書店や取次ぎ店が嫌がるので)白ヌキにするの
ですが、そこにも表紙と同じ透明度の着色がほどこしてあって、これまた、「いいぞ、
もっとやれ!」と狂喜してしまいました。こういうのは、よっぽど気骨のある編集者が
いないとできないことなので、以文社は結構いい出版社なのかもしれぬと思いました。
タイトルの文字も小さくてスマートだし、ここも白ヌキになっていません。ふつうは、
本を売るために、タイトルはできるだけ大きく目立つようにというのが常識なのに、
まるでその常識に反旗をひるがえしてみせているようで、とてもいいです。こういう
攻めの仕事なら、それこそ現物支給でもいいので、請け負ってみたいくらいです。
あと肝心の本の内容についていえば、日本版のために特別に書き下ろされた
かなり長めの「自叙伝的序文」がついていて、これが滅法おもしろい、というか、
ちょっと泣けました。レヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」という本に「いかにして
人は民族学者になるか」という章がありますが、これは「いかにして民族学者は
アナーキストになるか」という感じの告白になっていて、かなりぐっときます。
文化人類学者になりそこねたイルコモンズだけに、胸に迫るものがあります。
文化人類学専攻の大学生と院生はぜひ読んでみるといいと思います、というか、
読みたまえ。急いで、いま、すぐに。
by illcommonz | 2006-10-27 22:01
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