人間に対してもっともあきらめがわるく、
最後の最後まで人間への信頼と希望を
手放さない、という逆説とその矛盾を
あたまから抱きしめたくなるような本。
トッド・デイヴィス著
「カート・ヴォネガットの十字軍、あるいは、
ポストモダ二ズムのロマン小説はいかにして
新たな人道主義を説くのか?」
(2006年 未邦訳)
人間はとてつもない過ちや惨劇をひきおこす。とはいえ、人間は奇跡を起こす
こともある、ということを(信じてないかもしれないが)知ってる作家がヴォネガット
だと思った。あらゆるものに対して「そういうものだ」と、あきらめてみせる作家が、
どうしてもあきらめきれないもの、それは人間が…(以下省略)。
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[追記] ヴォネガットが、シカゴ大の文化人類学の大学院で、当時の指導教官
だったロバート・レッドフィールドから学んだのは何だったのか、などもわかって、
非常におもしろい評伝です。どこかの出版社が翻訳してくれないでしょうかね。
Todd Davis
Kurt Vonnegut's Crusade Or, How a Postmodern
Harlequin Preached a New Kind of Humanism