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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼さよなら、ヴォネガット
▼さよなら、ヴォネガット_d0017381_23161726.jpg
カート・ヴォネガット(1922-2007)

小説家のカート・ヴォネガット氏が死去
米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、米作家で1960―70年代の若者をとらえた対抗文化(カウンターカルチャー)の旗手、カート・ヴォネガット氏が11日、ニューヨーク市内で死去した。84歳。関係者によると数週間前に転倒した際、脳を損傷し治療を続けていた。1922年、ドイツ系移民の子としてインディアナポリスで生まれた。第2次世界大戦で従軍中にドイツ軍の捕虜となり、連合国側によるドレスデン爆撃を体験。これが後に作家としての原体験となった。ユーモアとペシミズムが織りなす独特の語り口で、米文化の衰退や人間の存在の意味を問う作品を著した。その作品群により、ベトナム戦争に悩む若者たちにとって文学的な偶像となった。52年の「プレイヤー・ピアノ」で登場、ドレスデン体験に基づいた69年の「スローターハウス5」は代表作の一つ。ほかにSFの「タイタンの妖女」や「猫のゆりかご」などがある。(共同)(2007年4月12日スポーツ報知)

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世界でいちばん好きな作家がいなくなった。2番目に好きな作家はいない。
それだけ書けば十分だと思う。「そういうものだ」という云うにはまだもうすこし
時間がいる、そういうものだ。さよなら、ヴォネガット、ありがとう、ヴォネガット。
以下、感謝をこめて引用。

▼さよなら、ヴォネガット_d0017381_22552090.jpg【トラルファマドール式弔辞】
「わたしはトラルファマドール星人から多くのことを学んだが、なかでもいちばん重要なのは、ある人が死ぬとき、その人は死んだように見えるにすぎない、ということである。過去では、彼はまだ生きているのだから、葬儀の場で泣くのは愚かしいことだ。過去、現在、未来のすべての瞬間は、常に存在してきたのだし、常に存在しつづけるのである。たとえばトラルファマドール星は、ちょうどわれわれがロッキー山脈をながめるのと同じように、すべての異なる瞬間を一望のうちにおさめることができる。彼らにとっては、すべての瞬間が不滅であり、彼らはそのひとつひとつを興味のおもむくままにとりだし、ながめることができるのである。一瞬一瞬は数珠のように画一的につながったもので、いったん過ぎ去った瞬間は二度ともどってこないという、われわれ地球人の現実認識は錯覚にすぎない。トラルファマドール星人は死体を見て、こう考えるだけである。死んだものは、この特定の瞬間には好ましからぬ状態にあるが、ほかの多くの瞬間には、良好な状態にあるのだ。いまでは、わたし自身、だれかが死んだという話を聞くと、ただ肩をすくめ、トラルファマドール星人が死人についていう言葉をつぶやくだけである。彼らはこういう、「そういうものだ(So it goes)」。

▼さよなら、ヴォネガット_d0017381_2315099.jpg【エリオット・ローズウォーターからの弔電】
「こんにちは、赤ちゃん。地球へようこそ。この星は夏は暑くて、冬は寒い。この星はまんまるくて、濡れていて、人でいっぱいだ。なあ、赤ちゃん、きみたちがこの星で暮らせるのは、長く見積もっても、せいぜい百年ぐらいさ。ただ、ぼくの知っている規則が一つだけあるんだ、いいかい。なんてったって、親切でなきゃいけないよ」

【キルゴア・トラウトによる弔鐘】
「チリンガ・リーン!」


▼さよなら、ヴォネガット_d0017381_2321494.gif【ヴォネガットへ】
「ぼくはくそったれな君が大好きだ。最近は、きみの書くものしか読まない。きみだけだよ、いま現実にどんなものすごい変化が起こっているかを語ってくれるのは。きみのようなキじるしでなくては、人生は宇宙の旅、それも短い旅じゃなく、何十億年もつづく旅だ、なんてことはわからない。きみのように度胸のいい連中でなければ、未来をほんとうに気にかけたり、機械が人間をどう変えるか、戦争が人間をどう変えるか、大都市が人間をどう変えるか、でっかく単純な思想が人間をどう変えるか、とてつもない誤解や失敗や事故や災害が人間をどう変えるか、なんてことに注目したりはしない。きみのようにおっちょこちょいな連中でなければ、無限の時間と距離、決して死に絶えることのない神秘、いまわれわれはこのさき何十億年かの旅が天国行きになるか地獄行きになるのか分かれ道にいるという事実。こういうことに心をすりへらしたりはしない」

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▼さよなら、ヴォネガット_d0017381_1572254.jpg[YouTube]
▼追悼ビデオ「そういうものだ」
http://www.youtube.com/watch?v=atABhlMLYvU
And you can have this heart to break
And so it goes, and so it goes
And you're the only one who knows.

 うた:ビリー・ジョエル「And So It Goes」


▼さよなら、ヴォネガット_d0017381_1585840.jpg▼カート・ヴォネガット・ドキュメント番組
http://www.youtube.com/watch?v=F5EqOiye7zI
http://www.youtube.com/watch?v=M8e4SjzcoAI
http://www.youtube.com/watch?v=Uf6WQs1WnHg
http://www.youtube.com/watch?v=H-dwAwsmQF4
http://www.youtube.com/watch?v=nznHJFjfZ74
http://www.youtube.com/watch?v=x3ikvCT3858
http://www.youtube.com/watch?v=ahOo41WiIeY
http://www.youtube.com/watch?v=zGK26wL3E7s

▼米軍によるイラク空爆作戦についてのヴォネガットのコメント(03年)
http://www.boingboing.net/2003/05/14/vonnegut_on_shock_an.html

▼ヴォネガットによる「スローターハウス5」の自作朗読(5分47秒)
http://archive.salon.com/audio/fiction/2001/02/20/vonnegut/index.html

▼TV番組「ザ・デイリーショー」でのヴォネガットへのインタヴュー(05年)
http://onegoodmove.org/1gm/1gmarchive/2005/09/kurt_vonnegut_o_1.html

▼オハイオ州立大学での講演「ブッシュは・・・」(06年)
(映像) http://www.youtube.com/watch?v=u_kj-i8Qcpw
(要約) http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/

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▼人間にもっとも絶望しているはずの作家が(「イルコモンズのふた」より)
http://illcomm.exblog.jp/4206776
▼文学の効用(同上)
http://illcomm.exblog.jp/4165023/
▼チリンガ・リーン(同上)
http://illcomm.exblog.jp/4305331/
▼チリンガ・リーン・リーン(同上)
http://illcomm.exblog.jp/4305365/
▼チリンガ・リーン・リーン・リーン(同上)
http://illcomm.exblog.jp/4305408/
▼チリンガ・リーン・リーン・リーン・リーン(同上)
http://illcomm.exblog.jp/4305429/

[半世紀後の結論]同じ年齢で没したことからも明らかなように、キルゴア・トラウトは、
ヴォネガットそのものだった。そして、ヴォネガットが文化人類学者になりそこねて、
SF作家になってくれてよかった。二〇世紀のこの喜ばしき失敗に、ハイホー。

▼さよなら、ヴォネガット_d0017381_005285.jpg
「20%ヴォネガット」▼イルコモンズプロフィール(「mixi 」より)
http://mixi.jp/show_profile.pl?id=1238161
▼「文化人類学者になりそこねた人たち」の肖像(「文化人類学解放講座」より)
http://illcommonz.exblog.jp/307630/
by illcommonz | 2007-04-12 23:23
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