「世界都市は文明の象徴である。そこは自由な知性の容器であるが、「母なる大地」から完全に離反し、あらゆる伝統的な文化形態から隔絶された、もっとも人造的な場所であって、実用性と経済的な目的だけのために数学的に設計された巨像である。ここに流通する貨幣は、現実的なものにいっさい制約されることのない形式的・抽象的・知的な力であり、どのようなかたちであれ、文明を支配する。ここに群集する人間は、故郷をもたない頭でっかちの流浪の民、すなわち文明人であり、高層の賃貸住居のなかでみじめに眠る。彼らは日常的な労働の知的緊張をスポーツ、快楽、賭博という別の緊張によって解消する。このように大地を離れ、極度に強化された知的生活からは、不妊の現象が生じる。人口の減少が数百年にわたって続き、世界都市は廃墟となる。知性は、空洞化した民主主義とともに破壊され、無制限の戦争をともなって文明は崩壊する。経済が思想、宗教、政治を支配した末に、文明は二十一世紀で滅びる」(オズヴァルド・シュペングラー)
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[参考資料]
+ゴドフリー・レジオ「ナコイカッテイ」