中国の石景山遊楽園。最後はキャラクターを始末することで一応カタがついたようだけど、このニュースについて、今さらながら一言云えば、大事なのは、ディズニー社の著作権についての考えが「普遍的に正しい」わけではないし、別にそれが「スタンダード」でもないということだ。それぞれの文化や社会に著作権についての、それぞれ異なる考え方やローカルなルールがあっていいはずで、このことで中国を「遅れている」とか「無法地帯」だと決めつけてしまう論調や報道はどうみても西欧文化中心主義的で、市場経済中心主義ではないのか、と思った。いくら市場を開放したとはいえ、別に中国は「社会主義」を捨てたわけではないのだから、著作権の考え方が米国とちがっているのは当たり前の話で、こういうオープンな著作権観念があってもいいはずだ。にもかかわらず、ディズニー社に代表される西欧の基準を世界標準のグローバル・スタンダードとしておしつけるのは、著作権の帝国主義であり、覇権主義だと思う(それに、こういう報道の一方で、ディズニー社が中国にもってるスウェットショップの実態なんかがほとんどニュースとして報じられないのもおかしな話である)。あと、もう一言云えば、こういう「著作権」のような、いま・そこにある身近な同時代の問題こそ「文化相対主義」的に考えてみるべきで、そうすれば、中国が著作権の考え方を「欠落」させているのではなく、ディズニー社の著作権についての考え方の方が異常なのではないかと考えることだってできる。少なくとも文化相対主義の文化人類学者ならそう考える。この遊園地がやったことは侵害なのかもしれないが、模倣は悪ではない。そして、こういう模倣が「あはは」と笑ってゆるされるようなおおらかな世界が「もうひとつの世界」だと思う。
▼マイクロソフト社のOS独占に抗議する
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