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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼リクレイム・ザ・メディア・リテラシー
▼リクレイム・ザ・メディア・リテラシー_d0017381_2253678.jpg「メディアへの公開書簡
<ロストック、G8 2007:
何かがひどく間違っている>」

より抜粋(*強調はイルコモンズ)

「ここドイツでG8サミットに対して大規模な抗議活動が展開し始める中、世界のメディアは人々(対権威)の闘争の本質を見極めようとせず(どんなによくても部分的な解釈のみに終始してしまっている)、闘争の理由や、実際、現場で何が起こっているのかさえに対しても目をくれようとしない。G8サミットの開催の度にメディアは繰り返し、同じ報道パターンを踏んできている。警察や警備隊に向かって投石を行う黒ずくめの活動家の映像、無分別なフーリガンのリポートなど、処罰・監禁の対象となる悪党として政府が敵対視する抗議者についてのお決まりの報道ばかりである。ストリートでの闘争に関するメディアの偏ったリポートや映像は、ただ市民の間に恐怖を拡散させ、抗議活動の犯罪化や社会運動の分断を生じさせ、 G8の真相だけでなく、軍事化、貧困、暴力、環境破 壊、そして気候変動といった悪の種をまき散らす無責任で無情な警察隊から世間の目をそらすことしかしない。状況を沈静化しようとしていた非暴力的なデモ参加者がこん棒で殴られ、ペッパー(催涙)スプレーを顔に吹きつけられていた。有害な化学物質が混入された巨大な高圧放水砲が無差別に発射されていた。こうした警察による暴力行為を、メディアは何故、伝えないのだろうか?暴力的な行為が良い「画(え)」になるならば、貧困を創出しているG8の政策による暴力行為が何故、非難と報道の対象にならないのだろうか?より目を凝らして見れば、全体像が見えてくるかもしれない。先に挙げたようなあらゆる暴力行為は、いのちよりも資産、教育よりも刑務所、持続性よりも拡張、移動よりも国境、平和よりも戦争を優先する社会・経済システムの症状として浮かび上がってくる。ストリートでの闘争は、実は、ドイツ国内だけで警備費に充てた9千万ユーロを正当化するための現象として、警察とG8側こそが望んでいるものなのだということが見えてくるかもしれない。そして、警察による弾圧と暴力は民主主義を崩壊させ、反対意見を封じ込めるためにデザインされたものだということが見えてくるかもしれない。」(全文はこちら
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ロストックから届いたメディアへの公開書簡。冷静で的確な状況分析を含んだこの「公開書簡」ひとつ読んでみても、決して現場が混乱と無秩序の状態にないことがわかるし、これまで見たどんなレポートより、問題の隠された本質を見事に言いあてていると思う。これはG8に反対する側から書かれた書簡だが、これをよめば、反対する側が大局的な視点とするどい洞察力を持っていることもよみとれる。

実際のところ、この「公開書簡」が指摘するとおり、故意に情報を欠落させたマスメディアの報道は、「いのちよりも資産、教育よりも刑務所、持続性よりも拡張、移動よりも国境、平和よりも戦争」を優先させたがっている側、つまりは企業や国家の利益に奉仕するものであって、マスメディアの報道もまた「反対意見を封じ込めるためにデザインされたもの」だと思う。

そして、これはもう何度も書いてきたことだけど、かつてヨーロッパの帝国やそのほかの列強国は、自国の植民地支配とその暴力を正当化するために、第三世界の先住民を「野蛮人」や「未開人」と一方的に決めつけ、しかも「彼らは人の肉を食らう」というカニバリズムの幻想まででっちあげ、それを人びとに信じ込ませ、その恐怖と嫌悪でもって、植民地支配への反対意見を封じこめようとした。、いままさにそれと同じようなことが起きている。そこでは単に「帝国」が「G8」に変わり、「植民地支配」が「グローバリゼーション」に変わり、そして「野蛮人」が「過激派」に変わっただけのことで(そのうち今度は「テロリストだ」と言い出すだろう)、そのやりかたは19世紀までのそれと同じだ。

かたや、アフリカへの支援や地球温暖化対策の枠組みづくりなどを表に掲げたG8の議題にしても、反対しにくくするためにセレクションされ、デコレーションパッケージ化されたものという側面もあり、むしろ世界8大強国首脳たちにとって本命の議題は、凍結されたままになっているWTOドーハ・ラウンドの交渉再開の方だろう。もっともそのへんの分析や解説は国際政治学や経済学の専門家にまかせるとして、いま、ロストックの現場にいない僕らにできることがあるとすれば、それはリテラシーをとりもどすということだ。

▼リクレイム・ザ・メディア・リテラシー_d0017381_4325533.jpgリテラシーは別に特別な能力でもなんでもない。それは本来、誰でも持ってるもので、それがマスメディアの報道によって、単に奪われてしまっているだけのことで、人にリテラシーが無かったり欠けているわけではない。「第三次世界大戦は、兵士と市民の区別のないゲリラ情報戦争になるだろう」とマーシャル・マクルーハンが予言したように、いま僕らは誰が敵で誰が味方かもわからない緩慢な情報戦争の中を孤独なまま生かされている。マスメディアによって世界についての意識を拡張されるのではく、むしろ意識をばらばらに遮断され、思考しないように眠らされている。そして、「テレビという娯楽は、数百万人の人々に同じ冗談を聞かせながら、それでいて各人を孤独のままに置く」というT・S・エリオットのことばのように、僕らが味方を見つけ共に行動する機会は奪われている。そういえば、こないだこういうレポートもあった。

▼テレビ長時間視聴、3歳児の「社交能力」発達に悪影響
「幼児にテレビやビデオを長時間見せると、譲り合いや順番待ちなど人とのつき合いの中で養われる「社交能力」の発達に悪影響を与える恐れがあることが、3歳児1180人を対象にした兵庫教育大などの調査で明らかになった。友達とお菓子を分け合ったり、おもちゃを貸してあげたりなどの譲り合いができる幼児の割合は、視聴時間4時間未満が96・3%だったのに対し、4時間以上は80・2%と低かった。」

すでにみえない分断はこどものときから始まっている。そうやって共にあろうとすることを妨げられた上で、一方的にあるものを見せることであるものを隠すカモフラージュ情報爆弾や僕らの関心を逸らす様々なスペクタクル情報爆弾、そうした巧みにデザインにされたスマートな情報爆弾の大量投下によって、僕らのリテラシーは奪われ、反対意見は封じこまれ、そしてそのすきに「いのちよりも資産、教育よりも刑務所、持続性よりも拡張、移動よりも国境、平和よりも戦争」を優先する世界が着々と準備されている。

▼リクレイム・ザ・メディア・リテラシー_d0017381_4355597.jpgそういう意味で、いまその情報戦争の激戦地となっているロストックと僕らがいる場所はつながっていて、僕らもまた攪乱情報のスプレーを顔に吹きつけられ、巨大な情報の高圧放水砲にさらされている。これに対抗し、抵抗するために僕らが手にしなければならないのは石ではなく、リテラシーであって、ブログやSNSはそのフィールドだと思う。そう、ゴダールがベトナム戦争のときにそうしてみせたように、必ずしもロストックの現場に行く必要はない。そうではなく、「自分のなかにロストックをつくること」、「自分のなかに情報戦争のバトルフィールドをもつこと」、そして、ことあるごとにロストックを話題にし、僕らの身のまわりにあるロストック的な状況に目を配ること、それが僕らにできることだと思う。そして、いうまでもなく、ゲリラ戦の基本中の基本は「相手の武器をこちらの武器に転用すること」で、その武器とはメディアで、その武器を使いこなすのがリテラシーだ。

まずは、マスメディアが報道しない情報にアクセスすること、それはちっとも難しいことではない。インディペンデント・メディアのサイトにいけば、情報はいくらでもある。なによりYouTubeなどを利用した映像配信のおかげで、たとえ言葉はわからなくても映像から何が起っているかを知ることができるし、言語化できないその場のリアルな空気をよみとることだってできる。「リテラシー」とは文字通りには「読み書きの力」のことだが、より求められているのは、映像をよみとくリテラシーの方かもしれない。マスメディアが報道しない映像にアクセスし、それを誰かとシェアすること。それはとても簡単なことで、YouTubeにはその機能がある。それだけでも立派なリテラシーだ。あとは、誤解を招かないための最低限の説明さえ書ければ、あとは映像が語ってくれる。リクレイム・ザ・リテラシー、リテラシーの欠如を嘆くよりもリテラシーの贈与を、いま僕らにできることは、それだと思う。ということで、いつも心に黒旗を、リテラシーを持ってステップをふめ、"新たな野蛮人たち"。

▼リクレイム・ザ・メディア・リテラシー_d0017381_359443.jpg
[おまけ] メディア・リテラシーをとりもどすプラットホームとして活用してください。

▼「G8を(G8に反対する側から」見る」
http://illcomm.exblog.jp/5525273/

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[追記] 「やっぱり、それが本命だったんだろ」と誰が思わざるの記。

▼サミット、ドーハ・ラウンド「交渉加速の決意」で特別声明
【ハイリゲンダム=矢田俊彦】ハイリゲンダム・サミットは8日、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)に関する特別声明を採択した。首脳らが担当閣僚に対して、年内の交渉妥結のため、「数週間以内に大枠合意に導くようなしっかりした土台を作る」よう求め、大幅に交渉を加速させる決意を示した。交渉は、7月末にもジュネーブで開かれる見通しの閣僚会合で、大枠合意を目指している。今後は、今月19日に主要4か国・地域(G4=米国、欧州連合、ブラジル、インド)がドイツで閣僚会合を開くなど、交渉主要国の会合が相次いで予定されている。(2007年6月8日23時50分 読売新聞)
by illcommonz | 2007-06-07 04:14
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