はじめに、ふた、ありき
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映画「不都合な真実」をDVDでみた。
九州の方ではずいぶん 台風が吹き荒れたらしいので、 お盆に帰省したときに、 実家でも見ようと思っていたら、 今度は地震が起きた。 やっぱり、どうも変だ。 旧石器時代から近代までの人類は、こうした天変地異がおこると、そこにバランスの 乱れやリズムの狂いを敏感に感じとり、物語的感受性や神話的想像力を働かせて、 そこにある種の警告やメッセージをよみとってきた。たとえばそれは、天の神々や 地の霊たちの怒りであり、人類はそれを静めるための祭りや儀式を発達させてきた。 そうした祭りや儀式は「われわれが本来なすべきことをしなかったからこんなことに なったのであり、いま、ここで、われわれが、こうしなければ世界は滅びてしまう」 という本来的にエコロジカルなコスモロジーを背景にもっていた。そうした感受性や 物語的想像力は「科学的な知」ではないけども、人類の「生きてゆく知恵」ではなか ったのかと思う。人類の長い歴史からみれば、そう考えて生きてきた時間のほうが 圧倒的に長いし、科学の物語がそれにとってかわったのは、たかだかここ数百年の ことでしかなく、それは一時の流行にすぎないのかもしれない。現代の新しいコス モロジーであるエコロジーが、いまひとつリアリティと力を持ち得ないのは、そこに 人間の営みと世界(=地球)の運命を結びあわせる「物語」が欠けているからでは ないかと思った。もちろん、いますぐ旧石器時代の感性や物語的想像力をとりもど すことはできないが、近代のとば口で、あるいは、近代に抵抗して、警告を発した 賢人たちのことばに耳をかたむけることなら、できる。 「地震や津波は人間に対する「自然の復讐」である。人々は火山の火口のまわりで 死のダンスを踊りながら、太陽がまた明日も昇ると信じて、楽しい人生だなどと 言っている。紳士淑女、大学教授、政治家などは、進歩や文明開化の名において、 虚偽に虚偽を重ね、自然を破壊し、自然に背いている。自然は真空を嫌う。愛か 憎悪か!自然は代償を好む。眼には眼を!自然は戦を好む。死か独立か!自然は 復讐を奨励する。復讐は甘美である。「自然に背く害虫」である人間を殺すのは、 自分達の女神である「自然の法」だ。彼等は進歩の名において、彼等よりもよきものを、 彼等の堕落した水準にまで引きおろそうとしている。彼等のこの傲慢や術策の価値を 彼等に知らせねばならぬ」(夏目漱石) 「人々は宗教を軽んじるようになってしまいましたが、この世から利益を得ることも実際 にはできないでいるのです。この文明は私たちの機嫌をとりながら、実はわたしたちに かじりついているネズミのようなものです。その影響が十分現われてくれば、宗教的 迷信のほうが、近代文明の弊害にくらべればまだ害がなかったということに私たちは 気づくでしょう」(ムハマト・ガンジー)
by illcommonz
| 2007-07-16 08:07
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