「もうこの本が最後で、これきり
ヴォネガットの話は、もうきけない
のだなぁ。。。」と思うと、あだや、
おろそかには、よめない。だから、
買ったけど、まだ、よみはじめて
ないし、もったいなくて、とうぶん、
よめない。これから先、いざという
ときのための非常用常備薬として
大事にとっておこうと思ってる。
ヴォネガットの最後の著書、
「国のない男」邦訳、今日発売。
英語版のカヴァーはヴォネガット
直筆のシンプルな横顔のイラスト
だったけど、日本語版の表紙は、
むこうの世界からこちらの世界を
じっと見守っているような写真で、
ちょっと、ぅるっときてしまった。
ヴォネガットのいなくなった世界で、これから誰が代わりに人間について語って
くれるのだろう。人類学者や哲学者たちが人間について語らなくなった時代に、
ヴォネガットという語り部の喪失はとてつもなく大きい。いまさらながらにそう思う。
チリンガ・リン。
[追記] 「SFマガジン」の9月号がヴォネガット特集だったので、かわりにそれを
よんでます。よみどころは、2006年のヴォネガットのインタビューと太田光の
「ヴォネガットについて」。後者は、現代の作家たちのなかでひとりヴォネガット
だけが「特別」な作家であり得た、その理由を見事に言いあててると思いました。
あと、この号を読んではじめて知ったのですが、もうすぐ日本でも公開される
マイケル・ムーアの映画「シッコ」で、マイケル・ムーアがヴォネガットにこんな
献辞を捧げてるそうです。
"Thank You Kurt Vonnegut for Everything"
マイケル・ムーアのユーモアや政治性、そして批評精神が、ヴォネガットから
影響を受けたものだったとは気づきませんでしたが、たしかにいわれてみれば、
わかる気もする。