勤め先の研究所の依頼をうけて、アート・ディレクションそのほか(というのは、つまり、
会場設計から展示構成、ポスターデザイン、WEBデザイン、フレームとマットボードの選定、
音響、照明、演示、映像編集、電気配線、壁の補修、床の掃除、キャプション貼りつけ、
ポスター貼りまで雑用全般)を請け負った展覧会の準備が終わりました(というか、
土・日は仕事をしないことに決めたので、金曜日の夜に終わらせました)
タイトルは
「鮮麗なる阿富汗 一八四八」。19世紀の「第一次アフガン・イギリス戦争」で
民衆の激しい抵抗運動にあってアフガンから全面撤退したイギリス軍中尉が描いた
リトグラフの展示です。西洋美術史的には「ラファエル前派」の時代に属するもので
残念ながら、みんなが大好きな「印象派」ではないので、お客さんはあまり来ないでしょう。
敗軍の将が描いた「戦争画」なので、勇壮なところはほとんどありませんが、アフガン
人のポートレートはきれいです。それに対し、戦場の惨禍をつづった解説文は、読むと、
たちまち気が滅入ります(だから読んだ方がいいと思います、WEBでよめます)。
展示はいたってシンプルです。ホワイトキューブのなかにホワイトキューブをつくり、
フレームもシンプルです。アフガニスタンに派兵して全滅した駐屯軍の記録というと、
ソクーロフの映画「精神の声」があるので、展示するリトグラフをもとに鮮麗な動画を
つくろうとしましたが、結果的には、使った音楽のせいで、オリバー・ストーンのあれ
っぽくなってしまいました(動画はWEBサイトでもみれます)。「戦争においては、
勝っているときだけ映像を持つことができ、敗者は映像を持つことができない」という
大島渚の言葉もあるし、そもそも映画はもちろんのこと、湿板写真が発明される前の
ことなので、動画はいまひとつですが、「戦争画」の展示なので、その程度でいいと
思ってます。11月30日まで開催してますので、近くにこられたときは、どうぞ。
[追記]
▼Afghanistan 1979 Country Fair
http://www.youtube.com/watch?v=Zk1qTeIiDM0
こちらはYouTubeでみつけた、1979年のアフガニスタンの映像。
おなじ展示するなら、こういう映像がいいなぁ、、。それにしても、
スーパー8で撮った映像というのは、どうしてこんなにいいのだろう。
こういう風景を破壊してしまう戦争がますます嫌いになります。