![]() はじめに、ふた、ありき
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![]() さて、ネグリの回答ですが、まず、 この質問を聞いた時のネグリの表情は というと、雲の切れ間からさしこんだ光が さぁぁっと顔一面に広がってゆくような そういう笑みでした。それから、この後に もうひとつ別の質問があって、そのあと、 「それぞれ洞察に富んだ質問をいただき 感謝します」という口上を述べたネグリは、 長い時間をかけて、まず二つの質問への 回答からはじめました。 ひとつは、そのものずばりマルチチュードの 定義に関するもので、マルチチュードは 「大衆でもなく人民でもない」という、 テキストに書いてある通りの講釈を述べた後、 「マルチチュードというのは"新しいプロレタリア" ではないのか」とよくそう云われることがあり、 はじめはそれを否定していたが、今はたまに 「そうだ」ということもあるという回答でした。 ![]() その後に、いよいよ順番がまわってきたのですが、 ここでなんとも運の悪いことに、 同時通訳のレシーバーの調子が急に悪くなり、 通訳の音声が途切れてしまいました。 他のレシーバーもそうだったようで、 みんな一斉にレシーバーの向きを変えて 何とか音声をキャッチしようと悪戦苦闘してましたが、 なかなか音声はもどらず、そんな中で かろうじて聞き取れたのは... ……………デ・シーカの『ミラノの奇蹟』は、私の大好きな映画で…… …………………『帝国』に引用したのは「知的引用」…………アレは 何て言いましたっけ、ぅうん、忘れてしまった、ねぇ、ほら、こう………… こんな風に…………………それで最後にね、みんなでほうきにのって 空に飛んでゆくんですよ…………アレは社会主義的手法だと言われ ましたがね………………以上 という感じで、あの満面の笑顔の割に、回答そのものは比較的 あっさりしたものでした。正直、これは「肩すかしをくらったかな」 という感じもしましたが、もともと、この質問の魂胆は、せっかく リアルタイムのストリーミングビデオで映像を流しているのだから、 このイレギュラーな質問にネグリがどんな表情と仕草で応答するか を見てみたい、というところにあったので、この回答はそれなりに 十分に満足にいくものでした。このフックのある質問に対しネグリは 十分に用心深く、それでもなお、陽気な表情と快活な仕草で回答を こちらに投げかえしてくれました。 ![]() チェシャ猫のそれのように、笑いだけが残った。 見たかったのは、まさにそれで、ネグリと ハートが慎重にそう書いてるように、そもそも マルチチュードとは特定の人物や集団によって 代理表象されるものではないので、特定のなにかに ひきつけて語ってしまうのは得策ではないわけです。 無論、それはよく理解できるのですが、とはいえ、 そんなマルチチュードにも「面影」や「シルエット」は あるはずで、それをネグリの表情や仕草をメディアとして、 この目で見て確かめたかったわけです。 その時のネグリの表情と仕草を、いまここでお見せできないのは 残念ですが、そのとき映像を通して確信したのは、マルチチュード というのは、決して気難しいものではなく「あかるいもの」だ ということです。アカデミックな政治哲学の研究者にとっては どうでもいいことかもしれませんが、在野の読み手にとっては、 このマルチチュードの心象を得られたことが、このビデオ会議での 最大の収穫であり、歓びでした。 ところで、実は、この話はまだ終わりではありません。 このお話にはさらに続きがあるのですが、それはまた 次回に(つづく) 【結話へ】
by illcommonz
| 2005-05-20 00:04
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