
▼You are what you buy.
http://www.youtube.com/watch?v=-lBKDyHmigs
「何を買うかで、あなたが決まる」?
断言してよいが、絶対にそんなことはない。人間の存在や価値は買ったもので
決まったりしない。ウソだと思うなら過去の賢人たちのことばにあたってみるとよい。
人間が為すべき徳や人間の人生の目的として、「買うこと」をあげてる賢人は、
ひとりもいないはずだ。別に賢人のことばでなくてもいい。「よく学び、よく遊べ」
とはいっても、「よく買え」とはいわないはずだ。死んだ時、エンマ大王の前で、
「生前、私はこんなものを買ってきました」と買物リストをみせても、「お前は、
アホか」といわれ、「しばらく地獄にいってこい」といわれるだろう。
人間は買い物をするために生まれてきたわけではない。
人間は買い物をするために毎日生きているわけでもない。
人間はなにか別のことをするために生まれてきたはずだ。
人間の価値が何で決まるかは、人それぞれだと思うが、
たとえば、こういうのもある。丸井のこのCMをつくった
ディレクターには、これを聞いてもらいたい。
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「バイ・ナッシング・デイ・ジングル」(mp3)
イルコモンズはキリスト教徒ではないが、「素晴らしき哉、人生」とか
「クリスマスツリー」とか、「34丁目の奇跡」とか、クリスマス映画は好きだ。
それをみる限り、クリスマスとは、信仰の有無によらず、こんなふうに、
人間やその生き方について考える日ではないのかと思うのだが、ちがうのか?

「我、買うゆえに我あり」
バーバラー・クルーガーの
この作品にはアイロニーと
批評精神があったが、この
CMにはそれがない。その
まんまである。
チョムスキーが云うように、CMは必要のない商品やモノを買わせようとするから
だけでなく、まちがった人間の生き方や、理想や幸福のかたちをおしつけようと
するから、有害なのだ。哲学、文学、宗教、芸術、それぞれジャンルは違えど、
「人間とはなにか?」について真剣に考える人文学者や作家たちはこのCMをみて、
なんとも思わないのだろうか。イルコモンズは、人間に対する冒涜だと思う。そして、
腹がたつ。