俗に世間では「家に帰るまでが遠足だ」と云いますが、
ロード・ワークも一種の遠足とはいえ、
それはホームレス・ワークなので、
パリ~東京~名古屋~京都と接続してきた
ロード・ワークは、東京に戻ってからも続きました。
まず、京大でのシンポジウムの翌日、
酒井さんの京都の家で開かれた
「公共圏を問う」研究会に参加した後、
その足で、「石垣★カフェ」、ではなく、
六本木の「ヴァージン・カフェ」に移動し、
WhySheep?主催のパーティ
「Virgin Sheep For Sunday Brunch!」で、
Infernal Noise Brigade のキーパーソン、
Filastine のDJプレイを見てきました。
彼の
サイトや
配給元からフリーダウンロードできる
トラックを聞けば、その音圧やミックスの
具合から、トライバル・ヒップホップとか、
プランダー・フォニクスとか、そんな風にも
聞けますが、Filastine の独異性は、
99年のシアトルや03年のカンクンでの
反グローバリズム直接行動にINFの
主席奏者として参加し、その現場や
街頭でフィールド・レコーディングした、
抵抗のナマ音使いにあって、
INF が集団で叩き出すドラムの肉弾音と
まるで上物のファズを通したかのように
どこまでも歪みきったトランジスタ・
メガホンからの剥き出しの肉声が、
聞く者の肉体の中で眠りこけている
アドレナリンを噴きあがらせるわけです。
ちなみに「サウンド・デモ」のサブユニット
として結成された
T.C.D.C.は、
必ずしも、このINFを手本にしたものではなく、
T.C.D.C.のサイトにあるように、チンドン屋を
はじめとする様々な文化的記憶が
ツギハギされた混成体であって、
INFとは似て非なるものなのですが、
それはともかくも、INFやFilasineの
行動とアイデアには、かねてから
敬意を感じていたので、
Filastine がプレイを終えた後、
T.C.D.C.のことを話して、
「殺すな」のデモや「殺すなコブラ」のライヴなどで
ずっと愛用してきたドラム(一見、ティンバレスのように
見えますが、実は改造したタンバリン)のヘッドに、
何かひとこと書きこんでくれないかと頼んでみたところ、
こんなメッセージをよこしてくれました。
STRIKE EVERYWHER X
と読めます。
以前、イルコモンズ名義で『情況』に連載していた美術時評の中で、
「サウンド・デモの次は、限りなくスローなデモとしてのストライカーズ・
パーティーじゃないだろうか」と、そんなことを書いていたので、
「あぁ、やっぱり、そうか」という感じで、ますますFilastine に
親近感をおぼえたパーティでした。