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![]() 「「ビルマの竪琴」「おとうと」「東京オリンピック」などを撮り、戦後の日本映画界を支えた映画監督の市川崑さんが13日午前1時55分、肺炎のため亡くなった。92歳だった。葬儀は近親者のみで行う。1948年、野上弥生子の「真知子」を映画化した「花ひらく」で監督デビュー。「足にさわった女」「プーサン」など、社会風刺を散りばめた都会派の喜劇を撮って注目された。「ビルマの竪琴」(56年)ではベネチア映画祭サン・ジョルジュ賞を受賞。「鍵」(59年)もカンヌ映画祭審査員特別賞に輝くなど、世界的に高い評価を受けた。記録映画「東京オリンピック」(65年)も大ヒットした。黒沢明、木下恵介、小林正樹監督とつくった「四騎の会」として、69年に脚本を書いた「どら平太」を99年に映画化。翌年の第50回ベルリン映画祭では、映画界への貢献に対して特別功労賞が贈られた。2006年には、自身のヒット作「犬神家の一族」を30年ぶりに再映画化し、これが遺作となった。」(2008年2月13日 読売新聞) ![]() ![]() この映画は、田舎のある金持ちの一族の骨肉の争いを描いた猟奇的な物語なのだが、風景描写は淡々として美しく、リンチの「ツイン・ピークス」のオープニングを連想させる。リンチは「ツイン・ピークス」を「ダークな"ペイトンプレイス物語"だ」と云っていたが、さしずめ「犬神家の一族」は「ダークな"小早川家の秋"」と云えるかもしれない。座敷の奥にかけられた犬神佐兵衛の遺影のモンタージュとともに劇中に挿入される殺害場面のハイコントラスのフラッシュバック映像は「ツインピークス」のキラー・ボブのそれを彷彿させる。だが、もちろん、それが市川崑の映画を「映画史」に残る偉大な映画にしているのではない。 ![]() と、『映画史』のなかで、たしかゴダールはそんなふうに語っていた(と記憶してる)が、こう語ったときゴダールは、もうひとり忘れてはならない映画作家がいることを忘れていた。 ![]() このシーンがスクリーンに 映し出された瞬間、誰もが 思わず息をのみ、世界は 悲劇と喜劇のはざまで、 逆立ちしたまま静止する。 「世界のコントロール」とは まさにこのことである。 市川崑の偉大さは、アレクサンダー大王、シーザー、ナポレオン、ヒトラー、その誰ひとりして果たすことのできなかった「世界のコントロール」を果たし得たことである。犬神家で起きた忌まわしい殺人事件の犯人が誰てあったか、私たちはもはや思い出すことができないが、湖面から突き出した二本の足の映像は決して忘れえぬものとして私たちの記憶に焼きついている。 ![]() 市川崑は、ヒッチコックやドライヤーと共に「世界のコントロール」を果たした作家として、ゴダールの「映画史」のなかに登場してしかるべき映像作家であったと思う。
by illcommonz
| 2008-02-14 00:12
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