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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼マルチ・カヴァーズ・オブ・エンパイア&マルチチュード
d0017381_4333292.jpgネグリとハートが書いた『帝国』はおもしろい本なのだが、分かりにくいところがある。『帝国』はまず、こういう書き出しで始まる。「〈帝国〉が私たちのまさに目の前に姿を現している」。ところが、である。その、まさに目の前に現れているはずの〈帝国〉とは、一体どんな姿かたちをしているのかが、どうもいまひとつよく分からないのである。もちろん、何度もくりかえし、この〈帝国〉は帝国主義の帝国とは違う、とそう書いてあるので、それは分かった。中心がないというのも分かるし、脱領土的だというのも分かる。外部が存在しないというのも分かる。分からないのは、その姿かたちであり、イメージなのである。ザ・ブルーハーツもこんなふうに歌っている。イメージ、イメージ、イメージは大切だ。中身はなくても、イメージがあればいいよ♪」とまでは云わないが、イメージは大切である。今から4年前に『帝国』についてのレヴューを書いた時、まず思ったのはそれだった。一方、そのイメージが分かりにくい原因のひとつははっきりしていた。それはすなわち、本のカバーデザインがわるいのである。そのレヴューでも書いたように、『帝国』の表紙に使われている「地球」の画像は、ビル・ゲイツが設立したコービス社のもので、コービス社というのは、こういうライセンス画像や写真の販売をやってる会社である。

d0017381_4394852.jpg
もちろん、コービス社の製品だからわるい、というのではない。選んだ画像がよくないのである。つまり、宇宙に浮かぶ惑星としての地球は〈帝国〉の姿としてはあまりふさわしいものだとは思えない。とはいえ、デザインをする側からすれば、〈帝国〉ほどやっかいなものはない。なぜなら〈帝国〉は中心となる領土やシンボルをもたず、つねに流動的で、かつネットワーク的だからで、これくらいデザイナー泣かせの物件はない。さらに加えて、ネグリとハートは、〈帝国〉が局所的で具体的な対象に限定されるのを嫌ってるところがあるので、そうなるとデザイナーとしてはますますお手上げである。おそらく、ありうるべき誤解や限定を避けることをまず最優先し、「地球」の画像はあくまで消極的な選択として選ばれたのではないかと思う。画像にコービス社のものを使ったのは、〈帝国〉について論じた社会科学の書物にさえも〈帝国〉的なものが潜在しているということを暗に示すためだった、かどうかは定かではないが、結果としてはそうなっている。ちょうどルパンの「盗まれた手紙」のように、〈帝国〉は『帝国』を読む私たちのまさに目の前につねにすでに表紙として存在している。

d0017381_436105.jpg同じことは『帝国』の続編である『マルチチュード』についても云える。〈マルチチュード〉が「ピープル」とも「マス」とも違うということはよく分かるのだが、〈マルチチュード〉もまた〈帝国〉と同様に、その人物像やキャラクター・イメージが非常につかみにくい存在で、ここでもネグリとハートは〈マルチチュード〉の具体的な人物像や集団をあげるのをなるべく避けているように思える(ただし後でみるようにはっきりしたモデルもいる)。かくして『マルチチュード』の表紙は、不特定多数の人のシルエットの群れが〈マルチチュード〉の「M」の文字を構成しているという、これまたイメージのつかみにくいものになっている。ついでに云うと、そのシルエットはどことなくマイクロソフト社の最近の広告で使われている「ピープル」のイメージを彷彿させるところもあるが、まぁ、これは単なる偶然だと思う。

d0017381_4365817.jpgそれはさておき、こうした表紙のデザインは、誤解を避けるためには仕方のないことだとは思うが、〈帝国〉にしろ、〈マルチチュード〉にしろ、そのイメージがつかみにくい理由のひとつは、このよくないカバー・デザインにあると思っている。本来、本のカバー・デザインの使命は、本を開かなくてもその内容が一目見て直感的に分かるようにすることであり、そういうカバーがよいカバーである。発刊当時であればまだしも、いまではもう〈帝国〉と〈マルチチュード〉についてたくさんの概説や解説が書かれ、仮に誤解が生じても誰かがそれを正してくれる環境が整っているので、このへんでもっと分かりやすく、一目見て具体的なイメージをつかめるようなカバーに差し替えてみてはどうだろうかと思う。もしひとつのイメージに限定されるのは困るというのであれば、カバーをどんどん差し替えてゆけばよい。なにもカバーはひとつだけである必要はない。たくさんあっていいはずだ。なんなら、好きなカバーを選べるようにしてもいいかもしれない。もちろん出版流通のことを考えると、実現困難なのは分かっている。しかし、そういう実現できないもののデザインを考えたり、あえて誤解を招くようなものや、まちがったものをつくるのが、どういうわけか好きでたまらないので、さっそくつくってみた。まずはじめにお断りしておくが、このカバーは決して正しいものではないし、誤解を招くおそれもある。でも、わかりやすくなっているとは思う。

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ということで、まずは『帝国』の「マイクロソフト帝国ヴァージョン」と
「グローバル資本への実質的包摂ヴァージョン(別名・バンクシー・ヴァージョン)」。

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もうひとつは「WTOコンボ・ヴァージョン」
(別名ジェロ・ビアフラ・ヴァージョン)である。
ほかにIMFや世界銀行、スターバックス、
ナイキ・ヴァージョンがあってもいいと思う。


〈マルチチュード〉は多種多様であることが命なので、たくさんつくってみた。

d0017381_4565986.jpgd0017381_4573424.jpg
「シアトル1999・ヴァージョン」と「聖フランチェスカ・ヴァージョン」

d0017381_4592561.jpgd0017381_4595282.jpg
「チュート・ビアンキ・ヴァージョン」と「ジェノヴァ2000・ヴァージョン」

d0017381_504664.jpgd0017381_512515.jpg
「コモン・ヴァージョン」と「クラウンアーミー・ヴァージョン」

d0017381_52884.jpg「ロストック2007年、愛のヴァージョン」

これがひとつだけならまちがっているが、たくさんなら、まちがいも少ないはずだ。では最後に、本に帯はつきものである。帯にはぜひ次のフレーズを使ってもらいたい。これもまた誤解をまねきそうなフレーズだが、あえてそれを選んでみた。

「アメリカ人よ、
真に「帝国」的たらんとするなら、
あともうひとふんばりだ」

そう、アメリカはきわめて帝国的だが、
いまのところ、まだ帝国ではないのだ。
by illcommonz | 2008-02-23 05:09
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