かつてモフマルバフはこう云った。
「アフガニスタンの仏像は
破壊されたのではない、
恥辱のあまり
自ら崩れ落ちたのだ」と。
それと同じことだ。
「太陽の塔は倒壊したのではない
絶望のあまり自ら転倒したのだ」。
では、いったい太陽の塔は何に失望したのか?そんなこと聞くだけ野暮である。
このところのニュースをみてたら、太陽の塔が転倒したくなるのも無理はない。
イージス艦が漁船を沈め、イスラエル軍がパレスチナのこどもたちを射殺し、
中国軍がチベットの住民を弾圧し、法/外務省がネグリの入国を妨害する。
大きなものが小さなものたちを平気でふみつけにし圧殺するようなことばかり
起きてる。太陽の塔は、自分が巨大なものであることについに居たたまれなくなり、
何かをふみつぶしたり圧殺してしまわぬように、自ら孤独のうちに転倒したのである。