はじめに、ふた、ありき
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去年の秋、イルコモンズが大学院時代に在籍していた一橋大学社会学研究科で、「ポストコロニアル論争は人類学にとって自殺行為だった」か?、というテーマをめぐって、現役の人類学者たちが議論を戦わせる「人類学バトル」がひらかれた。リング上での攻防戦の後、「場外バトル戦」が行われたので、イルコモンズも参戦した。「場外バトルの華」といえば、もちろん、反則ワザと挑発行為である。そう思って、挑発的で反則的な発言をしたのだが、それが活字になって「くにたち人類学研究」という学術ジャーナルに載ることになった。あはは、こりゃまずい、こんなものが世間に出たら、ますます人類学者になりそこねてしまう、うむむ、ぅぅ、、ま、いいか。ということで、イルコモンズ発言とそれを受けての発言の一部を抜粋して公開。
--------------------------------------------- 「くにたち人類学研究」第3号(近日公刊) 特集=人類学バトル「ポストコロニアル論争は人類学にとって自殺行為だった」 (場外バトル篇) より抜粋 ▼岡崎彰(社会人類学者/一橋大学教授) 「はい、ありがとうございました。はい、ではこちら。お名前からお願いします」 ▼小田マサノリ(アナーキスト/イルコモンズ) 「小田マサノリです。「文化人類学者になりそこねた立場」から少しお話ししたいと思います。僕が文化人類学者になろうと思ったのは1980年代半ばのことです。それはちょうど「ニューアカデミズム」と呼ばれていた時代で、いわば「文化人類学の黄金時代」でした。その後、89年から96年にかけて東アフリカのケニアでフィールドワークをやったのですが、帰国した当時の日本は、というと、まさに「ポストコロニアル論争」のまっただなかで、「鬼よ、悪魔よ、人類学者よ」といった感じで、人類学者たちはひたすら反省をくりかえしているように見えました。僕はだんだんそれに嫌気がさしてきて、ある時から現代美術家に転向し、そして今は、グローバリゼーションに反対するアクティヴィスト・アーティストとして活動しています(...)。それはさておき、先ほど太田さんから「文化人類学とはもともとどういう学問であったか?」という問いかけがありました。当然、いろんな考え方があるでしょうが、僕にとって文化人類学というのは、なによりもまず「解放の学問」であって、決して「反省の学問」ではなかったのです。ここでいう「解放」とは、それまで自分を縛りつけてきた常識や価値観そして自文化からのそれのことで、文化人類学は、それまで自分が知らなかった「もうひとつの可能な世界」に目をひらかせてくれる、そういう「解放の学問」だったのです。ところがフィールドワークを終えて、日本に帰ると、文化人類学はそれとはまるきり正反対の、自分を内側へどんどん追い込んでゆくような内向的な学問になっていました。その時、思ったのは、「こんなはずじゃなかった。一度きりの自分の人生を反省に費やしたくない」ということで、それで現代美術家に転向したというわけです。(...) それはともかくも、あの長く続いた「ポストコロニアル論争」から僕が学んだことのひとつは、好むと好まざるとに関わらず、文化人類学という学問は、同時代の政治や権力と関わらざるを得ないということでした。「ポストコロニアル論争が人類学の自殺行為に等しかったかどうか」はもはや僕にとってはそれほど重要な問いではありませんが、とはいえ、あの息の詰まるようなポストコロニアル論争がなかったら、いまのようなアクティヴィズムの現場にはいなかったかもしれない、とは思っています。」 ▼岡崎: 「はい、ありがとうございます。続いての方」 ▼太田: 「もう一回いいですか?」(会場笑い) ▼岡崎: 「ええと、じゃあ、ごく手短にお願いします。」 ▼太田(文化人類学者/九州大学教授): 「太田です。小田さんの話したのを聞いて、延髄反射的に言いたい。実は僕もレジュメに引用されたりしていて、こういう現場に引きずり出されてるんですが、 いわゆるカギ括弧付きの「ポストコロニアル論争」云々ということに触発されて、僕は小田さんと同じ結論に達したということを確認したいんです。つまり、ポストコロニアル理論の根源にあるのは、さっき言ったとおり、正常化してしまった・完全になった・了解可能になったはずの世界にノイズが現れたということです。(...)」 ▼岡崎: 「はい、ありがとうございます。それでは、大杉さんお願いします。」 ▼大杉高司(人類学者/一橋大学教授) 「もちろんすべてには答えられないわけですけれども……まず、小田さんのリアクションを聴いていて、同じ世代なんだろうなという感じがして頷きました。たしかに解放の学問であって、反省の学問ではなかった。自分自身の認識を揺さぶってくれるものだったのが私にとっての人類学です。(...)」 ▼岡崎: 「はい、ありがとうございます。それでは慶田さんお願いします。」 ▼慶田勝彦(文化人類学者/熊本大学教授) 「慶田です。同じ頃にケニアにいた小田さんがすっかり解放されたようで、まあ、良かったなと思うんですが、私の方は人類学の制度内に閉じこもってしまったものでますます縮こまっているような感じがしますけども……。まず、僕にとっての「自殺以前」の人類学っていうのは、一つは飽きさせないこと。わがままかも知れませんが。「終わりになったなー」と思ったら、終わらない。「分かったなー」と思ったら、分からなくなる。そういったものが、延々と続いていくような感じがして、それで自分が継続していける。つまり飽きさせないということを、個人的なレベルで言えば、非常に大事にしています。」 ▼岡崎: 「ありがとうございます。では、これで場外バトルを閉幕したいと思います。みなさん、まだ言い足りないということもあるでしょうから、その続きはこの後の懇親会でやってくださったらと思います。場外バトルのさらに場外バトルということで。それではみなさん今日は長い時間どうもありがとうございました。」 ということで今日は、すっかり解放されてノイズになったイルコモンズの「文化人類学解放講座」です。 ▼「文化人類学解放講座」 今日の授業では、世界の「スウェットショップ」について学びます。下のドキュメント映画をみて、「現代の奴隷制」と呼ばれるスウェットショップの実態について知り、考えてみましょう。 ▼「ザ・ビッグワン」(1997年) ▼「ミッキーマウス、ハイチへ行く」(1996年) ▼「ザ・コーポレーション」(2003年) ▼「ジャマイカ楽園の真実」(2005年) 講義の最後に小沢健二の「うさぎ」の第一話を朗読します。プリントを3枚用意しますので自由に持っていってください。出席はとりません。
by illcommonz
| 2008-04-16 02:37
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