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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼イルコモンズ編「現代社会」(初級)

「何かがひどく間違っているのは誰の目にも明らかである。グローバリゼーションは、今日のもっとも差し迫った問題となり、世界のあらゆるところで議論の争点とされている。グローバリゼーションに毒づく人たちは、得てしてその利点を見過ごしているが、グローバリゼーションの支持者はそれ以上にバランス感覚に欠けていると言えるだろう。彼らにとってグローバリゼーションとは進歩である。だが、途上国の人たちからすると、グローバリゼーションはそれが約束したはずの経済的な恩恵をもたらしていないのである。広がりつづける貧富の格差は、ますます増える第三世界の貧困層に、一日一ドル以下の生活を強いてきた。グローバリゼーションの批判者は欧米諸国の偽善を糾弾するが、その批判はただしい。欧米諸国は貿易障壁をなすくように貧しい国に迫りながら、自らの障壁は保ってきた。発展途上国が農産物を輸出できないようにしておくことで、彼らが必要としてきた輸出による収入を奪ってきたのである。たとえ偽善的な犯罪行為をしていなくても、欧米はグローバリゼーションの題目をとなえながら、その恩恵を自分たちばかりにゆきわたらせ、発展途上国を犠牲にするようなことをしたのだ。グローバリゼーションの恩恵はその提唱者が言うほど多くなく、その代価はあまりに大きすぎる。世界の大半では、そのような恩恵はもたらされていない。多くの国ではグローバリゼーションは、大災害に近いものとしてとらえられている。環境は破壊され、政治のプロセスは腐敗し、急激な変化のペースに文化は適応できなくなるだろう。その過程で大量の失業者が生まれ、やがてもっと長期的な社会の崩壊という問題が生じてくる。何が間違っているかを理解するには、グローバリゼーションを支配している3つの主要機関、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機構(WTO)に目をむけることが重要だ。国際経済機関は、顔のない世界経済秩序のシンボルであり、現在、いたるところで、激しい批判の的となっている。発足からかなりの年月を経て、IMFは驚くほど変わってしまった。市場はしばしば有効に機能しないとする信念のもとに設立されたIMFが、いまでは市場原理主義者になって、熱烈にそのイデオロギーを信奉している。「市場は万能ではなく、政府の適切な介入が必要である」といしていたIMFのケインズ主義的な方向は、一九八〇年代にやみくもに叫ばれた新自由主義にとって変わられた。IMFの思考を支配してきたのが金融界の利害であるとすれば、WTOでは商業界の利害が同じように支配的だった。たとえばIMFは貧しい人びとにかかわる事柄にすげない態度をとる。銀行を救済するためなら何十億という金を出すのに、彼らのプログラムのせいで職を失った人びとには食糧助成金とするわずかな金額さえ惜しむのだ。ちょうどこれと同じようにWTOも自由貿易をすべてに優先させる。エビ捕り網にウミガメもかかってしまい、ウミガメの種の存続が脅かされているとして、このような網の使用禁止を求める人びとは、WTOからにべもなく、そういう規制は自由貿易への不当な侵害だと告げられる。貿易の利益がほかのすべてに、自然環境にさえも優先するということを思い知らされるのだ。最大の課題は機関そのものにあるだけでなく、思考パターンにもある。環境に配慮すること、貧しい人びとが自分たちに影響を及ぼす決定に発言権を持てるようにすること、そしてデモクラシーとフェアトレードを堅持することが必要なのである。今日、グローバリゼーションに異議をとなえる声が世界中からあがっている。グローバリゼーションに対する不満は当然のことだ。数百万の人びとにとっては、グローバリゼーションは役に立っていない。職を失い、生活は不安定になって、多くの人びとの暮らし向きは実際に悪くなった。彼らは自分たちにはどうすることもできない力に対して無力感をつのらせている。民主主義がゆらぎ、文化がむしばまれるのをただ眺めているしかなかったのだ。グローバリゼーションが今後もこれまでと同じやりかたで進められ、われわれが間違いから学ぼうとしなければ、グローバリゼーションは、貧困と不安定を生み出し続けるだろう。改革がなされなければ、すでにはじまっている激しい反発が高まり、不満はさらに大きくなるだろう。これはわれわれすべてにとって悲劇であるし、とりわけ、そうでなければ利益を得ていたはずの何十億の人びとにとって悲劇である。何十億という人びとにとってグローバリゼーションを役立つものにするつもりならば、そして人間の顔をしたブローバリゼーションを成功させようとするのであれば、われわれは声をあげなければならない。手をこまねいて傍観していることはできないし、そうすべきではないのだ。」
ジョゼフ・スティグリッツ「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」(2002年)より
by illcommonz | 2008-06-19 06:38
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