はじめに、ふた、ありき
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渋谷・宮下公園の「ナイキ化計画」のようなことは、すでに世界中のあちこちで起きている。 こうした場合に必要なのは、「もし、そうなったら、いったいどうなるか」ということを先取りして考える想像力と予知的知性である。そういう点で、2003年の夏にウィーンで起きたカールス広場の「ナイキ広場化計画」はその格好の手本となる。 ▼0100101110101101.ORG 「Nikeplatz/Nike Ground」 Nike buys streets and squares: Guerrilla marketing or collective hallucination? In September 2003 the news went out nationwide: "Karlsplatz, one of Vienna’s main squares, is soon to be renamed Nikeplatz. Apart from the new name, it appears that a huge monument in the shape of Nike’s famous “Swoosh” logo will be built in Nikeplatz." Needless to say, it was all fake. The one-month campaign provoked the reactions of Vienna’s citizens, city officials and, of course, the Nike group, which denied any involvement and started legal action to put an end to the bizarre performance. This almost unbelievable prank is the work of the artist duo known as 0100101110101101.ORG, who this time tricked an entire city: Vienna. かいつまんで紹介すると、こうである。 2003年の9月「ナイキ社がウィーンの街路と広場を買収!」というニュースが世界中にひろまった。この買収により、ウィーンの観光名所のひとつである「カールス・プラッツ(=カールス広場)」が「ナイキ・プラッツ(=ナイキ広場)」と改名され、カールス教会やウィーン国立オペラ劇場などの歴史的建造物が立ち並ぶ広場の一角に、ナイキ社のロゴであるスウッシュをかたどった巨大なモニュメントがつくられるという計画が伝えられた。このニュースの直後、ウィーン市内にナイキ社の「インフォボックス」が突然現れ、そこでは「ナイキ広場化計画」の概要とその「完成予想図」のほか、「ナイキ広場化計画」を記念するプレミア・シューズやCDが陳列され、連日、市民に対するアナウンスメントが行われた。この突然の通達にウィーンの市民は当惑し、ばかげたことだ、と怒りを表明。 しかし実はこれは、日常のさまざまな場で起こっている「企業による公共空間の象徴的な占領」についてウィーン市民の再考を促すというねらいで アクティヴィスト・アーティスト集団(ただし本人たちはアクティヴィストでもアーティストでもないという)「0100101110101101.ORG」が仕組んだニセのプロジェクト計画であり、ウィーンの街路を使った1ヶ月間におよぶ大がかりなカルチャー・ジャミング・パフォーマンスだったという声明が発表された。 この作品に対するウィーン市民の反応はドキュメント・ビデオで見ることができる。 ▼「途方もない怒り!? ナイキ広場計画ヴィデオ」 (A huge outrage!? The Nike Ground Video) 2003年 5分59秒 mov形式 ニセのナイキ広報担当者の口上が、 「いかにも」な内容で笑える。 こういう口上にだまされてはいけない。 声明をよみあげる0100101110101101.org とそれを聞く市民。 こちらは、いかにもナイキがつくりそうな、みかけはクールなデザインのニセのWEBサイト。 これもこのプロジェクトのためにつくられたもの。 ▼NIKE GROUND http://www.nikeground.com/ 「同時代芸術」である現代美術と、ファインアートとのちがいは、後者が作品それ自体の技巧性や完成度の高さ、そして普遍的な優美さや心地よさを追求するのに対し、前者は同時代の社会の状況によって、あえて不愉快なものや不快なもの、おぞましいものをつくってみせることで、いま・そこにある、目に見えない問題を明るみにし、それに対する想像力や思考を挑発し喚起する批評性にある。0100101110101101.org のこのプロジェクトは現代美術のその使命のひとつを見事に果たしていると思う(が、日本ではあまり紹介されてないのが残念だ。)。ここまで大がかりなものでなくても、「もし、ナイキに公園を乗っ盗られたら...」と想像力をはたらかせ、それを文章や絵にして共有することは重要だと思う。しかし、それにも増して、ただの空間のよさを実感できる祭りをやることは重要だ。何が失われるかをリアルに体験できるからだ。今日はあいにくの曇り空だが、「246表現者会議」でもなにかやるそうなので、午後から出かけてみようと思う。
by illcommonz
| 2008-08-24 05:55
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