
大学の帰り道、駅前に婦人用の
ストールが落ちてたので、拾って
交番に届けた。自分が他人から
してもらいたいと思うことは、まず
自分が他人にしてあげることから
はじまる。そこにサイクルが生まれ、
めぐりめぐっていつか自分の番が
やってくる。この互酬性への信と
想像力の上に社会は存在する。
これは文化人類学で学んだこと。
仮にもし自分の番がこなくても、
その時は神さまが褒美をくれる。
これはアフリカで学んだこと。
「ギフト・エコノミー(贈与経済)」とはそういう経済システムで、財は集中させるものではなく、つねに循環させるものであり、このサイクルの中心にあるのは「いつか、どこかで、だれかが・・・」という他者からの贈与への信頼と想像力である。不確実なシステムだが、それを「待ち望んでいる」あいだはずっと「希望」が消えない、ゆっくりとゆるやかに進行する、もうひとつのスローな経済システムである。小沢健二の「うさぎ!」にもたしかそういう話があったと思う。それはともかく、今日は一日、何も落とさなかった(はず)。