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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼歳末デザイン奉仕
▼歳末デザイン奉仕_d0017381_2250018.jpgデザイナーは本職ではない。「じゃぁ、本職はなんなの?」と聞かれると、こまるのだが、とにかくデザイナーは本職ではない。学校に行ったこともないし、なろうと思ったこともないし、人から習ったこともない。まったくの見よう見まね、まったくの独学独習なのだが、さしあたって、デザイン以外にできる仕事がないので、「アマチュアなのにお金をもらっていいのだろうか」と思いつつ、生活費のために「勤務」としてやってる。そこでは注文されたものを「業務」としてひきうける。今年でもうかれこれ8年になり、ここ数年、勤務以外のデザインの注文や依頼が来るようになった。そこでは注文されたものを「人からの頼まれごと」としてひきうける。上からおりてくる仕事ではなく、人から頼まれたものなので、原則的に全部ひきうける。人から頼まれたものは、なかなか断れない。よほどのことがない限り、全部ひきうける。あまり気のすすまないものでも、原則としては全部ひきうける。むかし、ピチカート・ファイブの小西陽晴が、ミュージシャンの仕事について「はじめは頼まれた仕事は全部やった、そうしてるうちに今度はやりたい仕事が向こうやってくるようなった」と、どこかでそう話してたので、それを見習うことにした。そうするうちに、やってみたいと思う仕事もぼちぼちくるようになったが、皮肉なことに、この二年はイルコモンズ活動でいそがしくて、頼まれてもひきうけられない仕事がでてきた。やりたいけどやれない仕事もでてきた。とはいえ、「人からの頼まれごと」なので、なるべくひきうけるが、さすがに頼まれごとがいくつも重なってしまった場合や、どう考えても時間的・能力的に無理な場合は、もうしわけないが断る、という方針に変えた。そうやっていると、断りやすい頼まれごとと、断りにくい頼まれごとがあるのが分かった。断りやすい頼まれごとというのは、報酬がある頼まれごとで、これは断りやすい。報酬があれば、他の誰かが代わりにひきうけてくれるからで、また報酬があれば知り合いに仕事を譲りやすい。逆に、断りにくいのは、予算があまりなかったり、報酬が少なかったり、あるいは、無報酬の頼まれごとで、これは非常に断りにくい。ひきうけないと代わりがいないし、知人にも譲りにくいので、こういうときは、あっさりひきうける。しかし、そういう頼まれごとの方が余計に感謝されるし、喜ばれるので、かえってやりがいがある。少ない予算のなかであれこれやりくりするのもおもしろい。余裕がないので協働してやることもある。工夫や節約のしがいもある。やれることが限られているので迷わなくてよい。余分なことや無駄なことをしなくてすむ。なにより、お金はなくてもモノはできる、お金がなくても人はうごく、ということを確かめることができて、気分がよい。奉仕、といえば、それまでだが、ふだんあまり人の役に立つような活動をしてないので、報酬のない頼まれごとは、人の役に立つ絶好のチャンスである。

ということで、今日は「くらしと制度をつなぐ会」から頼まれた小冊子の表紙デザインをやった。小冊子のタイトルは「もっと身近に憲法を!」で、本文では映画「軍隊を捨てた国」に寄せて、こんな話が紹介されている。

「コスタリカでは小学校に入ったその日にすべての児童に送る言葉があるんです。「人は誰も愛される権利がある」。これって難しい言葉でいうと「基本的人権」です。人間は誰も「おぎゃあと生まれたその瞬間から愛される権利がある」と。」

これをよんで、映画のこのシーンを思い出した。

▼歳末デザイン奉仕_d0017381_22492617.jpg
▼こどもの権利とおとなの義務
http://illcomm.exblog.jp/1933618/

いいねぇ。

それはさておき、「憲法」はともかくも、「くらし」や「身近」というのは、これまでまったく手がけたことのないデザインである。しかも使える写真がないので、さて、どうしよう、と頭をひねる。「”くらし”といえば、やはり「暮しの手帖」かな」と思い、久しぶりに古い「暮しの手帖」をひっぱりだしてきて読む。なるほど、ちゃんとそこに答えがあった。表紙に使える写真がない代わりに、これまで一度もやったことのない水玉模様と本文から抜粋した文字組みだけで六〇年代風のレイアウトをこしらえてみた。

▼歳末デザイン奉仕_d0017381_2259220.jpg
▼歳末デザイン奉仕_d0017381_22591845.jpg
頼まれた相手は、親と同じくらいの年齢の人たちなので、こういう色や柄のものを喜んでくれるんじゃないだろうか、と想像をめぐらせながら配色を考えたが、ここまでやったところで、印刷は「二色刷り」だということが分かった。しかも使えるインクの色は赤・黒・緑・紺のみで、用紙の色もみずいろ・もえぎ・アイボリー・さくら・オレンジだけらしい。このインクと用紙の組み合わせでできることは限られている。まず淡色でない水玉模様は文字を読みにくくするので削除。用紙の色はアイボリーに決め、タイトルの敷面を紺もしくは赤のパタンにし、タイトル文字をヌキにした。これでできあがり。すっきりとムダのないデザインだが、シンプルすぎてややしまりがないので、文字組みで脇をかためた。

▼歳末デザイン奉仕_d0017381_22595585.jpg
▼歳末デザイン奉仕_d0017381_2301946.jpg
これなら多少インクの色が転んでも、用紙の色がちがっていても、失敗はすくない。色校正をしなくても、ほぼ確実で安心なセーフティー・デザインである。さて、赤と紺、どちらを気に入ってもらえるだろうか。なんだかプレゼントを贈るときのような気分である。こういう贈り物ができるのはデザインのいいところである。デザインは本職ではないが、わるくない仕事だと思った。
by illcommonz | 2008-12-27 23:10
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