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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼ほんのちょっとしたこと
▼ほんのちょっとしたこと_d0017381_2129212.jpg「イスラエル:ガザ地区「停戦宣言」
ガザ、つかの間笑顔」

「真っ暗な夜空に「ブーン」という低い機械音が響いていた。数日前、エジプト側からイスラエル軍の空爆を取材した際にも聞こえた不気味な音に、思わず身構える。「イスラエルの無人偵察機だ」とマヒドさん。「私たちの動きをいつでも見張ってるんだ」。「もう爆弾が落ちてこないのはうれしい」。マヒドさんの自宅で長男ハイサン君(15)はこう話すが、マヒドさんのいとこと結婚してガザに住むエジプト人女性のカーラムさん(45)は「今だって爆撃されるんじゃないかと怖い」と訴える。」(毎日新聞 2009年1月19日)

[写真]「18日、エジプト境界近くの自宅に攻撃開始後初めて戻り、長女のヘバさん(18)=右
ら家族と夕食を取るダルウィッシュ・アブシャルフさん=澤田克己撮影」


泣いた顔や怒った顔、悲しい顔や絶望した顔、疲れた顔や不安な顔、そういう顔ばかりみてると、その人の素の顔がどんな顔なのかわからなくなる。その泣いた顔や怒った顔、悲しい顔や絶望した顔、疲れた顔や不安な顔は、戦争がおしつけたもので、戦争がなければ、いつもは、こういう顔をして生きている人たちなのだ。この顔をみればこそ、この戦争の終わりを願う気持ちもより強くなる。そして、戦争が終わるということがどういうことなのかを想像してみないと、それを願う気持ちも強くなってこない。たとえば、今から約六〇年前、日本で戦争が終わった時は、こんなふうだったらしい。

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 もう空襲はなかった
 もう戦争は すんだ
 まるでうそみたいだった
 なんだかばかみたいだった
 へらへらとわらうと
 涙がでてきた

 じぶんの生涯のなかで 
 いつか 戦争が終わるかもしれない 
 などとは 夢にも考えなかった

 その戦争が すんだ
 戦争がない ということは
 それは ほんのちょっとしたことだった

 たとえば 夜になると 
 電灯のスイッチをひねる
 ということだった

 たとえば ねるときには 
 ねまきに着かえて眠る
 ということだった
  ▼ほんのちょっとしたこと_d0017381_21293646.jpg
 生きるということは 
 生きて暮すということは
 そんなことだったのだ

 戦争には敗けた しかし 
 戦争がないことは すばらしかった

(花森安治)
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庶民にとって、戦争が終わるということは、映画や芝居のように、決してドラマチックなことではない。電灯をつけ、パジャマに着替え、朝までぐっすり眠る。そんな「ほんのちょっとした」、人としてあたりまえすぎるくらいあたりまえの生活、あたりまえだからこそ尊いものである暮しが、もどってくるということだ。ならずものの政府や戦争の親玉たちにとってはちがうのだろうが、庶民にとってはそうだ。どんな国にも存在する圧倒的大多数の「世界庶民」のひとりとして考えれば、やはり戦争に反対しない理由がみつからない。戦争がまだ完全に終わってない、束の間のいまだからこそ、戦後についての想像力をはたらかせ、戦後のイメージについてじっくりと考えてみる必要がある。パジャマを着て、電気を消して、ふとんのなかで、じっくりと。
by illcommonz | 2009-01-20 21:38
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