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「シャハダ監督からのメッセージ」(訳=岡真理)
私の作品をご覧いただく方々に
私たちは、パレスチナ人として、自らの歴史が世代を超えて繰り返されてきたのを見てきました。私たちは、自らのアイデンティティを考えるとき、もはや占領に束縛されていることと切り離すことができません。国家としての地位と自由の実現に向けた不断の苦闘によってもたらされた、被害者の自己イメージと切り離すこともできません。私たちは、現実のなかでも、映画のなかでも、エンドレスで再生されるフィルムのなかに生きています。私たちは、破壊された家、戦車、F16戦闘機、薬莢、ロケット弾といった同じ舞台装置を使い続けています。主役と敵役とを区別することもできないまま、被害者の立場を強いられているのです。
「レインボー」は、私が2004年に制作した映画ですが、これと同じ物語を反復しています。私たちは今2009年に生きています。私は、皆さんがこの映画を、またリハーサルを何度も繰り返すように見なければならないことを残念に思います。しかも今回は、より進歩した兵器によって、わが民衆とわが街を実験台にしながら繰り返されているのです。この困難なときにあって、私は皆さんに映画を託します。そのメッセージを理解するために、見ていただきたいのです。
アブドゥッサラーム・シャハダ