高橋管楽器は大久保の住宅地のなかにある。
ガラス戸をあけるとすぐに古い作業台があって、
修理を待ってる古いサックスがたくさんあった。
クラリネットをみてもらうと「キーがもどらないのは、
木製の本体にとりつけてある台座が歪んだからで、
木は生きものだからね」とそう教えてくれた。
修繕をおねがいすると、ものの1時間ちょっとで、
見事になおしてくれた。代金は2,000円。
なおしてもらったのは一番最初に手にいれた
ベルのないクラリネット。ベルがないと正確な音程
がでないので、プロなら(あるいはセミプロでも)
「これはもう使いものにならない」と云うだろうが、
プロになるつもりはないし、これがいちばん手に
なじんでるのでずっと愛用してると、そう話すと、
バカにせず、ちゃんとなおしてくれた。
「一級のプロから始めたばかりのアマチュア様まで、幅広い世代の方にご来店いただいて
おります」というのは本当だった。そもそも、みんながみんなプロのマネをすることはなく、
アマチュアにはアマチュアの楽器のたのしみ方があってよいはずだ。すこしくらいおかしな
ところや欠けたところがあってもいいじゃないか。そういうものを好む人間だっているのだし、
そもそもそれが趣味というものだ。なんだかうれしくなったので、久しぶりにキー磨きをした。
これとは別にあともう一本、こわれたクラリネットを改造してつくった「ちびくらりねっと」を
もってる。これは管が半分しかないので、ドから下の音はでないし音程もおかしいが、
リュックのポケットにさして、気軽にどこでも持ち歩けるので、とても気に入ってる。もし、
おかしくなったときは、高橋管楽器にもっていってみてもらおう。
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[追記]
「ちびくらりねっと」があると
これができる。写真は、去年
対談した大熊(ワタル)さんと
ジンタらムータ。2005年の夏、
中野でやった「ユーガーデーン」
で見て以来、自分でもやってみ
たいと思ってるのだが、いまだに
この二本吹きはマネできない。