
といっても、
派遣切りでもなければ、
はたまた、刃傷沙汰でもなく、
郷里の父親が外科手術をしたので、
福岡の田舎に一時帰省した。
術後、「きられた、、、」と、
まるで侠客に斬られたかのように、
手術のことを話してたのが可笑しかった。
もちろん地元の大きな病院で
手術を受けたのだが、
どうも腑に落ちないらしい。
腑に落ちないのは、
腑を切ったせいではなく、
もっと根本的な疑問があるようだ。
考えてみれば、これまでずっと、まっとうで堅実な人生を歩み、
律儀で規則正しい生活を送ってきたのに、「どうして?なぜ?」
という不条理な思いがあるからだろう。「善人のディレンマ」である。
それにひきかえ、イルコモンズのように、いつ・どこで・だれに刺されても、また、
ゆきだおれになっても、おかしくない、というイレギュラーな東京生活を送ってると、
万事につけ「そういうものだ」ということになる。「因果者の達観」である。
どっちがいいかはさておき、血のつながった親子でも生き方は、
ずいぶん違うものだと思った。